暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#2
[4/7]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
─解散しましてね」
「解散?────何故?」
「ゾアブラの一人息子が亡くなったからです。ゾアブラは嘆き悲しみ───もう劇団は続けられない、と。私たちも慰めたり励ましたりしたんですが、ゾアブラの悲しみは深く…、結局、失意のまま、ゾアブラは劇団を解散させました」
息子を亡くして、悲しみに暮れる父親────まるで、ディルカリド伯爵のようだ。この符合は、おそらく偶然じゃない。
そうか────今日、レド様がシャゼムさんの依頼を受けることになったのは、このため────レムトさんを助けるためだったんだ。
そして、この話を聴くため────
「ゾアブラさんの息子さんは────何故…?」
「ゾアブラの息子は、女優をしていた母親に似て、大層な美男子でしてね。────観劇に訪れた皇妃に気に入られてしまったんです」
「!」
「皇宮に連れて行かれ───ゾアブラは息子を取り戻そうとしましたが、小さな劇団の団長ではどうしようもなく、徒労に終わりました。
地方を巡って、数ヵ月後に皇都に戻って来たときには────ゾアブラの息子は、すでに教会の無縁墓地に葬られていました」
「………」
何て言えばいいのか解らなくて立ち竦んでいると────いつの間にか、レド様が傍にいた。
「リゼ───終わった」
レド様の言葉に、私は眼を見開く。あの男たちが逃げて、まだそんなに経っていない。
「…早いですね」
「ああ。そのことは後で話そう。────それで、その男はウォイド劇団の者なのか?」
「はい。レムトさんといいまして、ウォイド劇団の俳優さんです」
「初めまして、レムトといいます」
「俺は───アレドだ」
レムトさんは、興味深げにレド様を見ている。彼は、人間観察が好きなのだ。演技の糧にするらしい。
「アレド、レムトさんはこのままにしていては────おそらく危険です。また狙われる可能性があります」
「えっ、ど、どういうことですか…!?」
レムトさんが焦ったように口を挟む。
「それについては、後で話します。まずは場所を変えましょう。アレド、ベルネオさんに場所を借りてもらえますか?」
「解った」
レムトさんに視線を戻すと────レムトさんは未だに狼狽えているような感じだった。
「レムトさん、今日はウォイドさんに頼まれて、こちらに来たんですよね?ウォイドさんは、忙しいのですか?」
「…はい。ちょっと不測の事態が起こりまして───夜の公演に間に合わせようと奔走しているはずです」
「そうですか。では、エルは?」
「エルは、今日も主役を務める予定ですから、この2ヵ月続けている公演なのでリハーサルも必要ないですし、上演までは休んでいるはずです」
◇◇◇
「レムト、無
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ