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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#2
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トの後ろに括り付けてあるナイフを抜き取った。

 レムトさんは、顔を前方に向けたまま、話し続けている。

 私は、レムトさんたちのいる方向に向かって、咄嗟に地を蹴った。男がナイフを持つ手を振り上げる。

 私は、自分のベルトに括り付けてある小刀を手に取ると───男のナイフを持つ手の甲を狙って放つ。

「ぎゃっ」

 男は叫び声を上げ、ナイフを手放して、私の小刀が刺さった手をもう片方の手で押さえた。

 男が落としたナイフが、音を立てて地面に落ちたときには────私はそこに辿り着いていた。

 レムトさんを背に庇って、(うずくま)る男を見下ろす。

「…無事ですか?」

 名を呼ばずに、レムトさんに訊く。レムトさんは、黙って頷いた。

 まだどういう状況か呑み込めてはいないようだったが、レムトさんも私の名は口に出さずにいてくれた。

 小太りの男の護衛らしい男たちが、腰に提げた片手剣を抜き放って、蹲る男を庇って前に出る。

 護衛すべき小太りの男が負傷してから出てくるとは────剣の腕はそこそこありそうだが、護衛としてはあまりにも(つたな)い。

 もしかして────そういった仕事には慣れていない?


 レド様と姿をくらませたままのジグとレナスが駆け寄ってきたが────

「…?」

 痛みに顔を顰めながらも私を睨む小太りの男も、その護衛らしき男たちも、すぐそこにいるレド様には眼を向けない。

 気にしていないというわけではなく────まるで、認識していないというように。

 レド様は、シャゼムさんの家を出てすぐに、【認識妨害(ジャミング)】を発動させている。対象は『レド様を皇子と知っている者』だ。

 ということは────この三人は、レド様を皇子だと知る立場にいる…?

≪レド様、この三人はレド様を認識できていないようです。そこを動かないでいただけますか?ジグとレナスもです≫
≪解った。どうするつもりだ?≫
≪泳がせます。ジグ、ここにいる全員を認識できないように、【認識妨害(ジャミング)】を発動させてください。対象は指定しなくていいです≫
≪かしこまりました≫

 今日は───出かけから、ジグもレナスも【認識妨害(ジャミング)】は腕時計のものを行使している。

 レナスではなくジグに頼んだのは───ただ単に、魔術に関してはジグの方が得意だからだ。

 小太りの男の護衛は、私の出方を見ているのか、剣先を私に向けたまま動かない。実力差で出るに出れないというより、私を斬ることを躊躇っているように見える。

 ジグが【認識妨害(ジャミング)】を発動させたことを確認した私は、後ろにいるレムトさんに、こっそり話しかけた。

「助けを呼んでください
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