暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#2
[2/7]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
トの後ろに括り付けてあるナイフを抜き取った。
レムトさんは、顔を前方に向けたまま、話し続けている。
私は、レムトさんたちのいる方向に向かって、咄嗟に地を蹴った。男がナイフを持つ手を振り上げる。
私は、自分のベルトに括り付けてある小刀を手に取ると───男のナイフを持つ手の甲を狙って放つ。
「ぎゃっ」
男は叫び声を上げ、ナイフを手放して、私の小刀が刺さった手をもう片方の手で押さえた。
男が落としたナイフが、音を立てて地面に落ちたときには────私はそこに辿り着いていた。
レムトさんを背に庇って、
蹲
(
うずくま
)
る男を見下ろす。
「…無事ですか?」
名を呼ばずに、レムトさんに訊く。レムトさんは、黙って頷いた。
まだどういう状況か呑み込めてはいないようだったが、レムトさんも私の名は口に出さずにいてくれた。
小太りの男の護衛らしい男たちが、腰に提げた片手剣を抜き放って、蹲る男を庇って前に出る。
護衛すべき小太りの男が負傷してから出てくるとは────剣の腕はそこそこありそうだが、護衛としてはあまりにも
拙
(
つたな
)
い。
もしかして────そういった仕事には慣れていない?
レド様と姿をくらませたままのジグとレナスが駆け寄ってきたが────
「…?」
痛みに顔を顰めながらも私を睨む小太りの男も、その護衛らしき男たちも、すぐそこにいるレド様には眼を向けない。
気にしていないというわけではなく────まるで、認識していないというように。
レド様は、シャゼムさんの家を出てすぐに、【
認識妨害
(
ジャミング
)
】を発動させている。対象は『レド様を皇子と知っている者』だ。
ということは────この三人は、レド様を皇子だと知る立場にいる…?
≪レド様、この三人はレド様を認識できていないようです。そこを動かないでいただけますか?ジグとレナスもです≫
≪解った。どうするつもりだ?≫
≪泳がせます。ジグ、ここにいる全員を認識できないように、【
認識妨害
(
ジャミング
)
】を発動させてください。対象は指定しなくていいです≫
≪かしこまりました≫
今日は───出かけから、ジグもレナスも【
認識妨害
(
ジャミング
)
】は腕時計のものを行使している。
レナスではなくジグに頼んだのは───ただ単に、魔術に関してはジグの方が得意だからだ。
小太りの男の護衛は、私の出方を見ているのか、剣先を私に向けたまま動かない。実力差で出るに出れないというより、私を斬ることを躊躇っているように見える。
ジグが【
認識妨害
(
ジャミング
)
】を発動させたことを確認した私は、後ろにいるレムトさんに、こっそり話しかけた。
「助けを呼んでください
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ