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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#1
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「すまん、リゼ、アレド。せっかく来てくれたのに悪いが────まだ、魔獣の解体が終わっていないんだ。また午後に出直してくれないか」

 3頭の魔獣を討伐した翌日───ガレスさんとの約束通りにギルドを訪ねると、頭を下げられた。

 よくよく考えると、3頭もの巨大化した魔獣の解体だ。幾ら急がせたって、そんなに早く終わるはずがない。

「いえ、私たちが早過ぎました」
「いや、オレが時間を指定しておけばよかったんだ。本当にすまんな」
「気にしないでください。それでは、また午後になったら来ますので」
「ああ、頼む」

 ガレスさんは申し訳なさそうに応えると、裏庭にある倉庫で行われている解体に立ち会うためだろう────受付カウンター脇の扉から出て行った。


「すみません、アレド。ちゃんと時間のことを考えるべきでした」

 いつも通り、朝食後の鍛練を終えてすぐ、何も考えずに出てきてしまった。

 冒険者としては遅い出勤だが───世間的には、まだ早い時分だ。貴族の夫人や子女ならば、ようやく起き出す時間帯になる。

「いや───リゼが謝ることではない。遅れるよりは断然いい。────それよりも、せっかくだから、何か依頼を受けないか?」

 レド様が本気でそう思ってくれているのが判って────私はレド様のその気持ちに笑みを返して頷く。

「そうですね」

 何かいい依頼はないかセラさんに訊こうと振り向くと────般若のようなナニカを背負ったセラさんが、にっこりと笑った。

 いえ、今のは、いちゃついていたわけではないんですよ、セラさん…。

「ええっと…、その、セラさん?」
「今のところ、リゼさんやアレドさんに頼まなければならないような依頼はないですね。魔物や魔獣の目撃情報もないですし、今日はどの森にも満遍なく冒険者が入っている状態ですから、手薄になりそうな個所もないです」
「そうですか…」

 それなら、どうするかな。

 昨日できなかった“デファルの森域”で訓練するか────それとも…、などと考えていたら、レド様がちょっと躊躇いがちに口を開いた。

「その…、リゼ、昨日の依頼───あれは…、俺では受けられないか?」
「え?昨日の依頼───ですか?……あ、荷物運びや買い物の?」

 暇つぶしに見た低ランカー向けの依頼のことだよね。

「もしかして────やってみたいんですか?」

 レド様は、子供のように───こっくりと頷いた。う、可愛い…。

「セラさん、今、低ランカーの状況はどうなっていますか?」
「そうですね。現在、まだ討伐依頼を受けられないような低ランカーの子が数人いますが…、幸い、雑用依頼はありあまっている状態ですので、一つくらいなら受けていただいても大丈夫ですよ」

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