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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#1
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 本棚に入りきらないのか、床に本が積まれている箇所まであった。

 その上、厨房やダイニングにまで、本棚が置かれているのだ。本棚がないのはお風呂場くらいだ。まさに図書館のような家だった。

 これでは───家の補修を行うどころか、使用人を雇うことすらできないはずだ。本を買うために、服装のグレードを落とすのみならず、食事すら削っていそうだ…。

「…………」

 レド様は、呆気にとられたのか先程から無言だ。これは────午前中で終わらないのでは…。

 こうなったら、裏技を使わせてもらうしかない。

「レド様、こうなったら仕方ありません。手っ取り早く、【地図製作(マッピング)】してしまいましょう?【千里眼】を発動してくれますか?」
「あ、ああ、そうだな」

 レド様は、私の提案で我に返ったらしく、頷く。

 私が、【心眼(インサイト・アイズ)】を発動させて、レド様の【千里眼】と【(シンクロナ)(イゼーション)】させると、レド様と私の左手に嵌められた【つがいの指環】が光を迸らせた。

「ノルン、新規の【立体図(ステレオグラム)】を作製して」

───はい、(マスター)リゼラ───

「レド様、なるべく、ゆっくりと辺りを見回していってくれますか?」
「解った」

 これだけの量の本だ。本の題名も読み取って記録しなければ、意味がない。

 あれ、何か───物凄い勢いで魔力が減っていっている気がするのだけど───気のせい?

 身体から力が抜けてきて、倒れるかもしれないと思ったとき、ノルンの声が響き渡った。

───(マスター)ルガレド、(マスター)リゼラ、完了しました───

「っリゼ!?」

 レド様が私の様子に気づいて、私の腰を抱き寄せて支えてくれる。

「すみません、ちょっと魔力を使い過ぎたようです…」
「何で言わないんだ!」

 レド様は怒りながらも、私に魔力を渡すために抱き締めてくれる。

「ごめんなさい、まさか、ここまで魔力を使うことになるとは思わなくて…」
「もう、いい。リゼの様子に気づかなかった俺が悪い。────しかし…、リゼの固有魔力が底をつくほどの蔵書量なのか…」

 レド様は、呆れたように付け足す。

 しばらくの間、いつものように何とか意識を逸らしながら───そうやってレド様に抱き締められていると、全快ではないけど、ある程度魔力が満たされたのを感じ───私はレド様に声をかけた。

「レド様、もう大丈夫です。ありがとうございました」
「…もういいのか?」

 何でそんなに残念そうなんですか、レド様…。


「それでは───本を探すか。ノルン、先程作製した【立体図(ステレオグラム)】を投影してくれるか?」
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