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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#1
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「そうですか。ありがとうございます、セラさん」

 私はセラさんにお礼を言って、レド様に向き直る。

「それでは、あちらに行って依頼を選びましょうか」
「ああ、そうしよう」

 レド様が嬉しそうに口元を緩めたので、私も嬉しくなって微笑む。

 あ───まずい。セラさんから呪詛のような冷たいナニカが漂い出した。

「い、行きましょう、アレド」


 ギルド内が閑散としているのもあって、ボード付近にはやはり誰もいなかった。レド様と私は、ボードの真ん前を陣取って、依頼をじっくり検分する。

「昨日、俺たちが見たものは、どれも残っていないな」

 確かに、荷物運びや子守、買い物、雑木林の草取り────どれも、依頼書はなくなっている。

「でも、また色々追加されているようですよ。アレドはどんなことをやってみたいですか?」
「そうだな…、正直、どれもやってみたい気がするが…。リゼは、どれがいいと思う?」
「そうですね…」

 レド様にとって、楽しい───いい体験となって、かつ午後までには終えることができるもの。

 そして────できれば、他の低ランカーでは少し持て余してしまうような依頼がいい。やっぱり、低ランカーの子が稼ぎやすいものは残しておいてあげたいし。

「それなら────これなんかは、どうですか?」

 私は、目についた依頼書を指さす。

「『本棚から本を取って来る仕事』?…何と言うか、変わった仕事だな」

「ほら、この依頼主────昨日は買い物の依頼を出していた人です」
「ああ、足にケガをしているという…」

 これなら、文字を読めない冒険者には受けられないし───報酬が子供のお小遣い程度なので、文字が読めたとしても受けるのを躊躇しそうな依頼だから、レド様が受けてしまっても差し障りはなさそうだ。

「もしかしたら、本棚が2階にあるとか、取りたい本が梯子を上らないと取れない位置にあるとか───そういうことかもしれませんね」
「ああ、なるほど。しかし…、それほど本を所有しているなら、裕福なのではないか?使用人くらい雇っていそうな気がするが────」
「きっと会ってみれば判りますよ」
「そうだな。うん、面白そうだ。それでは、これにするか」
「ふふ、そうしましょう。アレド、その依頼書をボードから取ってください」
「解った」

 依頼書は、ボードに押しピンで貼ってあるだけなので、簡単に外せる。レド様は、左手で依頼書の端を掴むと、右手で押しピンを抜き取った。

「ピンはどうすればいい?」
「元の位置に刺しておいてください。新しい依頼書を貼るときに、また使いますから」
「なるほど」

「では、カウンターに戻って、処理をしてもらいましょう」


◇◇◇


 
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