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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#9
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 子供のように、そこまで言い合った二人は、ダズロの前だと思い出したらしく────慌てて、一旦口を噤んだ。

「すみません、父上」
「申し訳ありません、公爵閣下」
「いや、構わん」

 あまり会わないうちに大人になってしまった息子の子供じみた姿を見れて、ダズロは口元を緩めた。

 それに、リゼラのことも朗報だ。ただ───リゼラに許されたファルロが少し羨ましくはあったが。

「そうか…、リゼラは殿下に大事にされているのだな」
「はい。リゼラに関しては、心配はいらないでしょう」
「そうか────良かった…」

 最終的に本人が望んだとはいえ、立場の危ういルガレド殿下の親衛騎士にしてしまったことは、果たしてよかったのか────ダズロはずっと気にかかっていた。

 だが、ファルロとセグルの話からも───それを語る二人の様子から見ても────リゼラは大丈夫そうだ。


◇◇◇


 セロムが戻り、入れ替わりにファルロとセグルが執務室を去ると────ダズロは、セロムが出て行く前より妙に疲れている気がして、声をかける。

「随分、時間がかかったな」
「ええ。バセドに苦情を聞かされていたもので」
「悪いな、いつも対応を任せて」
「いえ」
「あれに関しては────ファルロがこの公爵家を継ぐまでには何とかせねば…」
「そうですね」

 セロムは頷いた後────表情を改め、再び口を開いた。

「ジェスレム皇子の件は、どういたしますか?」
「そうだな…」

 こういうとき、いつもなら、一番にウォレムに相談していたが────

「セロム────今日のウォレムの言葉…、どう思った?」

 ファミラの行動如何によっては、迷惑をかける────そう予め謝罪したとき、ウォレムが言った言葉だ。その件は────()()()だ、と。

「…慎重を期するガラマゼラ伯爵の言葉にしては────珍しく楽観的かと」

 セロムが言葉を選んで、答える。

「───何かやらかす前に、ジェスレム皇子とファミラが死んでしまえば…、()()()だと思わないか?」

「……旦那様の地位を護るために、ガラマゼラ伯爵が企んでいると?」

 セロムは半信半疑のようだ。

 ウォレムのあの言葉に違和感を感じてはいても────本当に、それだけのために、そんなことを仕出かすことなどあるのか疑問なのだろう。

「ですが───ファミラ様は、旦那様の実の娘ですよ?幾ら、大義のためとはいえ、友人の娘を死に追いやるようなことを、ガラマゼラ伯爵がするとは思えませんが…」

 ダズロだって疑いたくはない。ウォレムは、騎士見習いのときからの友人で───苦楽を共にした仲だ。

 そして、セロムの
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