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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#9
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ているのだ。

 改めて───ダズロは、ファルロを見遣った。すでに一年前に成人しているファルロは、もう幼さは残っていない。

 “デノンの騎士”となり、小隊長を任されるだけあって───繊細な顔つきながら、精悍さが伺える立派な青年だ。

 成長過程に携われなかったのは少し寂しいが、それでもファルロの今の姿はとても誇らしく感じた。

 そして────ファルロが“デノンの騎士”となったことも、とても喜ばしいことだった。

 実力の伴わないベイラリオ侯爵家門や傘下の騎士たちは、“デノンの騎士”となることを、まるで左遷のように(うそぶ)いているが───所詮、やっかみだ。

 “デノンの騎士”は、今でこそ魔獣討伐のみに従事しているが、戦乱の時代は戦場では負けなしの最強の騎士団だったと聞く。

 “デノン”とは、戦乱の時代を終わらせた皇王デノンのことで───実力主義を掲げ、国民すべてに神託を受けさせて、有能な者を身分関係なく雇用して、創り上げた騎士団が“デノンの騎士”だったという。

 皇王直属であるため、ベイラリオ侯爵家に荒らされたこの時代にあっても、実力主義は未だ顕在であり───ファルロは、その実力で以て“デノンの騎士”となったのだ。


「今日は、泊まっていくのだろう?」
「そう───ですね。もう皇城の門限には、間に合いませんから」

 話し合いが済み、一息ついたところでダズロが訊くと、ファルロは一瞬顔を顰めた。

 レミラと顔を合わせるのは、気が重いのだろう。それはダズロも同じだ。

「では、私は部屋と夕食を用意させてきます」

 セロムが気を利かせて、一礼して出て行く。

 残された三人は、何となくそれを見送る。セロムが完全に出て行くと、何となく───また会話が始まった。

「ところで────ファルロ。その…、リゼラはどうだった?」

 会話の合間に、ダズロは、先程から一番気になっていたことを切り出した。

「どうとは?」
「だから…、ルガレド殿下といて、その…、苦労してたりとか────」

 ダズロのその言葉に、ファルロは思わずといったように笑みを零した。セグルに至っては、吹き出している。

「苦労していないかどうかは判りませんが───今日、見た限りでは、とても楽しそうに殿下と笑っていました。それに、殿下にはかなり大事にされているようで───セグルなんか、リゼに見惚れて殿下に睨まれていたくらいです」

 セグルが、さっきとは違った意味で吹き出す。

「なっ、おま───言うなよ!お前だって、『ファルお兄様』って呼ばれてデレデレして、殿下に睨まれてたくせに!」
「デレデレなんてしてない。照れてるリゼは可愛いなと、ちょっと思っただけだ」
「それを、デレデレというんだよ」
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