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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#9
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ァミラの?」
「はい。リゼラに警告をされました。ジェスレム皇子が何者かに狙われている兆候があると────」
「何だと?」
ダズロは目を見開いて────屈みがちになっていた上半身を起こす。
「リゼラたちもまだ詳細は掴めていないから、詳しくは教えられないとのことでした。だが────気を付けた方がいい、と」
ダズロの弱々しかった眼の色が強さを取り戻した。後悔に打ちひしがれていた父親ではなく───護国を司る騎士たちを率いる騎士団長の顔となる。
「…リゼラの神託に対する見解が正しいなら────ファミラが持つという“剣術の才能”には、根拠がなくなります」
「そうだな。もう神託のことは考えずともいい。ファルロ───お前の目から見て、ファミラの剣術の腕前はどう見える?」
ファルロは、一瞬だけ躊躇して────答える。
「正直───基本すら危ういかと。ファミラは…、手合わせでさえ自分が勝てないと癇癪を起こし───指南役を挿げ替えていましたから。きちんと基礎を学べたかも定かではありません」
「そうか…。実戦を経験したことがないとは報告を受けていたが────そこまでとは…」
つまり───今、ジェスレム皇子が襲われれば…、ファミラは、ジェスレム皇子を護ることなどできないどころか、死ぬ確率の方が高い。
不出来だろうと、傲慢な性格だろうと────ファミラも、ダズロにとっては大事な娘だ。
「解った。その件は、こちらで調べて───何とかしよう」
「ありがとうございます」
ダズロがそう応えると───ファルロは安堵したような表情を浮かべた。
「いや。よく知らせてくれた、ファルロ。だが───私に話して良かったのか?ルガレド殿下とリゼラに会ったことは内密にすると約束したのだろう?」
「そうですね…、これは────せっかく俺を信じてくれたリゼラへの裏切りに値する行為だと思います。ですが、ファミラのことを話すためには、リゼラたちのことを打ち明けるのは必要なことでした。
それに───リゼラとルガレド殿下が、皇城を出て冒険者をしていることを内密にしたかったのは、おそらく皇妃一派に漏れることを恐れてのことでしょう。父上は、皇妃一派に漏らすような人間ではないと信じておりますし───ファミラのことを除いても…、リゼラの語ったことは、父上にも話しておくべきだと思いましたので」
「そうか……」
ダズロは、不覚にも涙が出そうになった。
リゼラほどではないにしても、長いことレミラとファミラに苦しめられてきたことは────ファルロも同じだ。
ダズロはそれを助けるどころか────気づきもしなかった。ファルロにしてみれば、不肖の父親だろう。
それでも────こんな父親でも…、ファルロは信じてくれ
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