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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#9
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ァルロがリゼラにちゃんと謝罪し───リゼラがそれを受け入れたことに、ダズロは何故か衝撃を受ける。

「それから────“神託”についても、話を聴くことができました」

 イルノラド公爵家の今の状況の諸悪の根源といってもいい───神託。

 今更話すことなどあるのかと、ダズロは思ったが───ファルロが語った話の内容は、さらに衝撃的だった。

 そして────ダズロの動揺に追い打ちをかけた。

「リゼラが────記憶持ちだと…?」

 確かに、幼児にしては感情の落ち着いた───やけに賢い子供だとは思っていた。

「何故…、何故────リゼラは、それを教えてくれなかった…?」

「リゼラの前世の故郷には、記憶持ちは存在していなかったようで────リゼラは自分は異常だと認識していたのだと言っていました。だから────誰にも言わなかったと」

 打ち明けてもらえなかったことにショックを受けたが────それ以上に、身近で接していたにも関わらず、察することができなかった自分が情けなかった。

(リゼラのことも───レミラのことも、本当に…、自分は一体何を見ていたのか────)

 神託に拘ることなどなければ────そんな後悔が湧く。
 神託に対するリゼラの見解を聴かされた今、余計に後悔が突き上げた。

 リゼラの見解は俄かには信じがたいものであったが────言われてみれば、腑に落ちるものがあった。

 何故、神託に拘ったのか────それは、ダズロ自身が『剣聖』という神託を授かり、剣によって名を成し、虧月(きげつ)騎士団を統べる立場まで昇り詰めたからだ。

 当然───子供たちも神託によって才能を見出(みいだ)されさえすれば、自分のように成功するはずだと考えていたのだ。

 リゼラの一件は、こうなってしまったのは、レミラだけのせいではない。

 リゼラが神託を受けたときに、自分が言い放ったあの酷い言葉と───冷淡な態度。ダズロは酷い言葉を言い捨て、リゼラもレミラも顧みることなく、聖堂を出て行った。

 おそらく───あのダズロの態度が、レミラの妄執の後押しをしてしまったのではないか。

 あの当時、ダズロは、彎月(わんげつ)騎士団の団長が、ベイラリオ侯爵とビゲラブナ伯爵に嵌められる形で引き摺り下ろされ───焦りと奴らへの怒りで気持ちが荒んでいた。

 だが───だからといって、幼い娘に向かって、あんなことを言うべきではなかった。

 たとえ、武に関する才能がなくたって、リゼラが自分の愛する娘であることは変わりなかったはずなのに────


「父上…、心中はお察ししますが────本題は、ファミラのことなんです」

 落ち込むダズロに、申し訳なさそうにファルロが続ける。

「フ
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