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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#7
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記憶はないが転生している最たる事例だ。
「お前は…、前世では神官だったのか?」
ファルロに訊かれ、私は首を横に振る。
「いいえ───私は、前世では成人する前に亡くなりました。ですが、私の生家は神官の家系で───私は家の習いで剣術を修め───年に二度、神に剣舞を捧げる役目を任されていたんです」
「剣術を?」
「ええ。私が、剣術を習わせてもらっていないのに、剣を振るえるのは、前世で修めた剣術を参考に鍛練をしたからです」
「そうなのか…」
「ちょっと、訊いてもよろしいですか?」
ファルロの後ろに控えている騎士が、躊躇いがちに口を挟んだ。
「何ですか?」
「教会の聖堂と皇宮の聖堂が似ているのは認めますが────たとえ、教会の聖堂のあれが魔術陣だとしても…、魔術で神と疎通をとっているとは、考えられないのですか?」
この騎士は、武芸に長けているだけでなく───思慮深くもあるようだ。
私は、彼に向けて答える。
「それは───ありえないと思います。本当に神と意思疎通ができるのなら、子供の───しかもレーウェンエルダ皇国の一部の子供の才能を知るためだけにしか使わないのは、おかしいとは思いませんか?
降神祭や教皇就任の儀こそ、神の声を聴くべきではないですか?そもそも、それなら───この皇都の教会ではなく、ドルマ連邦にある教会の本部に魔術陣を設置するのではないかと思うのです。
それに───そうであるなら…、もっと教会の権威が増しているはずです」
現在、この大陸において、教会はさほど影響力はない。
お布施があまり集まらないから、教会のほとんどが小さくて古い上、孤児や行き場のない者にちょっと施しをする程度しか機能していないし───聖職者になりたがる者は少なく、数少ない聖職者たちは、神への信仰を広めることにあまり積極的ではない。
「子供に神託を受けさせるのは、この国だけなのか?」
レド様には初耳だったらしい。
「ええ。この国だけ────というより、この皇都の教会でしか神託を授かることはできません。ですから、普段、自領にいる地方貴族は、子供に神託を受けさせに、わざわざ皇都までやって来るんです」
子だくさんの弱小貴族だと、皇都に来る暇も資金もないので、不法ではあるけれど嫡男だけしか受けさせないとか、妾に生ませた子供などには受けさせないことも多いらしい。
先程のファルロの言にあった『受けてすらいない者』が、貴族子弟であるなら、そういった事情なのではないかと思う。
「俺からも…、一つ、訊いてもいいか?」
ファルロが、意を決したように言う。
「あれが“神託”などではなく────魔術だとしても…、“才能を教えてもらうために神託を受ける”ことは
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