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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#6
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その前に───場所を変えましょう」

 いつまでも、こんな場所で話しているわけにはいかない。それに────他の騎士たちを、私事につきあわせるのは気が引ける。

 イルノラド公爵公子は、私の提案に黙って頷いた。


◇◇◇


 騎士の一人が、皇都を囲う城壁の北門に設えられている兵士の詰め所を借りて来てくれたので、レド様と私、イルノラド公爵公子と先程、会話に口を挟んだ騎士の4人で移動することになった。

 勿論、姿をくらませたジグとレナスもだ。二人とも、イルノラド公爵公子が名乗った瞬間から、剣呑な気配を発している。

 ジグもレナスも私の事情を知っているから────レド様のように、公子に対して怒りを感じてくれているのかもしれない。

 北門に辿り着いたとき────イルノラド公爵公子が、門まで同行していた騎士たちに指示を出す。

「今日は、ご苦労だった。先に詰め所に帰って───十分に手当てをして、ゆっくり休んでくれ。ミムス、俺たちの馬を頼む」
「了解。────悔いが残らないようにな」
「ああ。ありがとう」

 意外なことに、“デノンの騎士”は上下の関係がそこまで厳しくないようだ。それとも────この小隊だけなのか。

 他の騎士たちは何も言いはしなかったが、それぞれ公子の肩を叩いて、離れていく。公子は、仲間たちと良い関係を築いているらしい。

 騎士たちは、レド様と私に頭を下げるだけの挨拶をしてから───次々と門を潜って皇都へと入っていった。


「それでは、参りましょう」

 公子と共に残った騎士が先導して、城門に埋め込まれるように建つ塔の出入り口に踏み入り、狭い階段を上り始めた。

 公子、私、レド様───それから、姿をくらませたジグとレナスが続く。

 階段を上り切ったところに設えられた兵士の詰め所は、思ったよりも広く、部屋の中央に簡素なテーブルとイスがあるだけだった。

 北門に詰めていた兵士は、これ幸いと昼食を摂りに街に行ったとのことで、誰もいない。

 私は、念のため、こっそり【心眼(インサイト・アイズ)】を発動させて、安全を確かめる。

 公子とついてきた騎士の心根に関しては、もう確認済みだ。二人とも、性根は濁ってはおらず、敵意とか害意は視えない。

 私は一番清潔そうなイスを手前に持ってくると、後ろから詰め所に入って来たレド様を、そのイスに誘導する。

「どうぞ、レド様」
「ありがとう、リゼ」

 レド様がイスに座ると、私はレド様の斜め後ろへと控えた。イルノラド公爵公子がテーブルを挟んで向かい側に佇み、その斜め後ろに騎士が控える。

「イルノラド公子────さあ、話せ」

 レド様が公子を睥睨して、冷たい声音で促す。

「その…、ファルリ
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