暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#4
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
あ、いつものことなんだけど。

 今日はレド様も一緒だし、余計に声をかけづらいのかもしれない。


 依頼の清算や獲物を預けたい───あるいは午後にこなす依頼を受けたい冒険者で、カウンターはごった返している。

 セラさんだけでなく、二人の受付嬢が入っているが手が足りておらず、ガレスさんもカウンターに入って処理を手伝っていた。

「もうちょっと人が少なくなるまで、あちらで待っていましょうか」
「ああ、そうしよう」

 別に依頼を受ける気はなかったが、レド様と二人で、暇つぶしに依頼書が貼り付けてあるボードへと向かう。

 冒険者は識字率が低く、大抵の冒険者は受付で依頼を紹介してもらうので、これだけ人がいるのにボードの前は空いていた。

「へえ、色々な依頼があるんだな」

 ランクを飛ばして冒険者となったレド様は、実力を伴っていない低ランカーが引き受けるような雑用をした経験がない。討伐以外の依頼が珍しいようで、依頼書を興味深げに眺めている。

「荷物運びと子守は解るが────買い物?」
「その依頼主は、足をケガしているみたいですよ。軽いケガなら、施療院にかかるよりは、治るまで買い物を頼む方が安く済みますから」
「なるほど。こっちは────草刈り?」
「依頼主はご老人らしいですね。自宅の裏に広がる雑木林の手入れをして欲しいようですよ」

「『庭に面した箇所にかぶれる草が生えていて、困っている』───それは困るな。それにしても…、皇都の中なのに、何故、雑木林があるんだろうな?」
「確かに。孤児院の裏にもありますし、どういった経緯で存在しているのでしょうね」

 そういえば、孤児院の裏のあの雑木林────何だかんだと忙しく、まだ手入れができていない。時間を見て、やっておかないと。
 ここ数日ほど会いに行けていないから、白炎様にもお会いしたいし。

 そんなことを考えていたときだった────

 ギルドの扉が大きな音を立てて勢いよく開き、青年が一人駈け込んで来た。

「お、お願いだ、助けてくれ!魔獣が出た…!」

 青年はフードつきのマントを着込んでいて────いかにも旅装という出で立ちだ。

 ガレスさんがすぐさま、カウンターから出て、青年の許へ駆け寄る。

「魔獣が出たのは、何処だ?」
「北門の近くだ。もうすぐ皇都というところで、3頭の魔獣に襲われた」
「魔獣が────3頭も?」

 通常、魔獣は魔獣化に伴って理性を失っているので、群れることはあり得ない。大抵の魔獣は出合い頭に殺し合う。

 それなのに────連れ立って、人を襲った…?

「と、とにかく、助けに向かってくれ!仲間が取り残されているんだ!護衛が戦っているが───魔獣を3頭も抑え切れるはずがない…!」


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ