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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#3
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だ。

 昨日の夜に分析して────だから、レド様にもまだ報告ができていなかった。【純魔石】のことは今日の空いた時間にでも相談するつもりだった。

「92個の魔石全てを一遍に?」

 答えようとするノルンを止めるために、身を乗り出したところをレド様に押さえ込まれる。

「むぐ…!」
「はい。ブラッディベアの変異種の魔石の分析結果を確認した後、念のため、持っている魔石を一通り分析し直しました。更にその後で、そのブラッディベアの変異種のものと、そのレアリティの高い魔石をもっと詳しく分析しました」
「魔力は間に合ったのか?」

 ああ、ノルン、お願い…!答えないで…!

 レド様に抱き込まれて、声を出せない状態で祈る。だけど、非情にもそれはノルンには届かない。

「はい。ギリギリでしたが、間に合いました」
「ほう、ギリギリ」
「あ、でも、大丈夫です!(マスター)リゼラは、ベッドの上でやりましたから。ベッドの上で倒れて、今朝には全快してました」

 嬉々として話すノルンに、私はがっくりと力が抜ける。【念話(テレパス)】を使えば良かったと考えが浮かんだが、時すでに遅しだ。

「リゼ?」

 レド様は私を拘束する腕を緩めたけど、離してはくれず、逃げられない。

「はい、レド様…」
「俺は────言ったはずだよな?無理はするな、と」
「はい、仰っておりました…。ですが───レド様、分析は私にしかできません。あれは、必要な行為だったんです」

 私は最後の抵抗を試みた。

「そうだな。分析はリゼにしかできない」

 レド様の言葉に、私は一縷の望みを持って顔を上げたが────すぐに打ち砕かれる。

「だが────全てを分析する必要はないはずだよな?誰かに【解析(アナライズ)】を頼み、選り分けてから分析することもできたはずだ」
「はい…、仰る通りです…。申し訳ありません…」

 有罪判決を受けた犯罪者のごとく項垂れる私を見て、レド様は深い溜息を吐いた。

「リゼ────どうしても俺に遠慮してしまうなら、ジグでもレナスでも、ラムルでもカデアでもいい。もっと周りを頼ってくれ」
「いえ、その…、頼りたくなかったとか、頼れなかったとかではないんです…。翌日にやるべきだとは思ったんですけど、どうしても…、すぐにしなければいけないような気がして────」
「それでも、誰かに手伝ってもらうことはできただろう?」
「いえ、だって…、声をかけるには、時間も遅かったですし…」
「それを、『頼れない』と言うんだ」

 レド様は、また溜息を吐いて────再び、ノルンに顔を向ける。

「ノルン、今度、このようなことがあったら、すぐに俺に知らせてくれ」

(マスター)ルガレドに───ですか?
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