暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#2
[1/7]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 侍女修行のために、ラナ姉さんとアーシャと一緒に、セレナさんをロウェルダ公爵家に預けると───私は、それぞれの持ち場に行こうとする仲間たちを、引き留めた。

 今度のお邸の厨房は狭いし、参加人数も増えたので、ダイニングルームで話をすることになった。

「ヴァルトさん、ハルド君、訊きたいことがあるんです」

「何だい、隊長さん」

 いや、もう───というか、最初から隊長ではないのだけど…。まあ、それは今はいい。

「ディルカリド伯爵は…、セレナさんのお兄様が亡くなって────その件で抗議するために皇城に向かって、戻って来なかったと聞いています。その…、遺体すら戻って来なかったのですか?」

「…ああ、何も。皇城に問い合わせたが、知らぬ存ぜぬだった。ただ…、ジェスレム皇子の配下数人によってたかって、乱暴されたところを見たという者がいてな…。おそらく────生きてはいないのではないかという話だった」

「そうですか…。では───セレナさんの他のご兄弟は、今どうされているのですか?」

「さあ、知らん。あいつら────散々、血筋や魔力量を鼻にかけ、お嬢をバカにしてたくせに────伯爵家が皇妃に反感を買ったと知るや…、何もかもお嬢に押し付けて────消えやがったんだ」

 ヴァルトさんは当時のことを思い出しているのか、悔し気に歯を食いしばる。ヴァルトさんは────セレナさんが、本当に大事なようだ。
 私は、セレナさんの傍にヴァルトさんがいてくれて良かったと────心から思う。

「そうですか…」


「リゼ、何か気になることでもあるのか?」

 心配そうに訊くレド様に、私は肯いて───【遠隔(リモート・)管理(コントロール)】を発動させた。

 取り寄せたものを、そこにいる面々に見せると、皆一様に首を傾げる。

「ただの魔石に見えるが────」

「これは、ディンド卿たちを襲った魔獣の魔石です。【解析(アナライズ)】してみてください」

 私の言葉に従い、ディンド卿、ヴァルトさん、ハルド君以外の仲間たちが───【解析(アナライズ)】を発動させる。

「リゼラ様、これは────」

 【解析(アナライズ)】の結果に、レド様たちが眼を見開く中、ジグが思わずといった風に呟く。

 そう───これは、ジグが初めて【解析(アナライズ)】した魔石と同じ───魔物に大量の魔素が注がれることによってできるという…、【純魔石】だ。

「どういうことですか?この魔石が何か…?」

 ディンド卿が、説明を求める。私は、これがどういうものなのか───ディンド卿、ヴァルトさん、ハルド君に説明して聞かせた。


「あのブラッディベアの変異種は───魔獣化して変貌までしている割には、内包
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ