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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#2
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さんのご兄弟も、それに近い魔力量を持っていたはずです。それなら、魔物を魔獣化させることも可能なのではないかと思います」
「…ノルン」
「はい、
主
(
マスター
)
ルガレド。
主
(
マスター
)
リゼラの仰る通り───個体にもよりますが、Sクラスの魔力量であれば可能です」
「魔術陣の価格は、3年前から上がり続けています。ディルカリド伯爵家の取り潰しによって、魔石の供給が大幅に減少し、新しく作られる魔術陣の数が極端に減ったからです」
私も、Sランカーへと昇進したとき、魔術陣を購入することを再び検討したけど───元々高値だったのが、さらに高騰していて、その高額さが割に合わなくて、結局止めたくらいだ。
それだけ、ディルカリド伯爵家の魔石の供給量が多かったのだ。
そこで、やっと───ヴァルトさんが、私の問いに対して答えた。
「確かに、ディルカリド伯爵家は、魔術師として国に伺候するだけに留まらず───魔石を調達する役目を担っていたが…、ワシは伯爵にも令息にも関わっていなかったから、詳しくは解らん」
ヴァルトさんはそこで言葉を切って、自嘲とも苦笑ともつかぬ笑みを浮かべた。
「ワシは───兄貴とは違って、ディルカリド伯爵家に対して盲目的に忠誠心を持つことができなかったからな。信用されてなかったんだろうよ。あんな…、血筋と魔力量が多いことを鼻にかけ、自分たちは選ばれた人間だとか宣う奴らに───他の子供たちより魔力量が少ないからって、自分の娘を平気で虐げるような奴に…、どうしても忠誠心を持てなかったんだ」
ヴァルトさんはそれ以上、語る気はないようで────口を噤んだ。ダイニングルームに、沈黙が降りる。
「リゼラ様は───ディルカリド伯爵…、もしくはその令息が、魔獣を造り上げているのではないかと考えているのですね?魔獣を造り上げて───何か、企んでいるのではないかと」
沈黙を破ったのは、ディンド卿だ。
「ええ、そうです。【純魔石】を見つけたのは、これで2度目ですし───皇都近郊で、というのも気になるのです」
「確かに───それは気になるな」
私の言葉に、レド様も相槌を打つ。
「ラムル───忙しいところ悪いが、至急、ディルカリド伯爵家について───取り潰された当時の状況、子息たちや使用人たちの行方と動向を調べてくれないか」
「かしこまりました」
ラムルは、いつものように優雅な一礼で応える。レド様は、それに小さく頷くと、ヴァルトさんとハルド君に振り向いた。
「ヴァルト、ハルド───以前、仕えていた主家だから思うところがあるかもしれないが、ラムルに協力して欲しい」
「解りました」
ヴァルトさんはすぐに応えたが────ハルド君は、躊躇うように眼差しを揺るがせる。
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