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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#2
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する魔力がそんなに多くありませんでした。通常───許容量を超える大量の魔素に侵されることによって、魔物は魔獣化します」

 あのときのアルデルファルムのように。

「ですから、あれは────あり得ない状態なんです」

「つまり───どういうことなんだ?」
「レド様、ノルンが魔獣化してしまいそうになったときの詳細を覚えていますか?」
「ああ」

「あのとき───ノルンが魔獣化しそうになったとき、レド様が注いだ魔力量はノルンの許容量を超えるほどではなかった。ただ───大量の魔力を一気に注がれたために、魔力を上手く取り込むことができず、魔力に蝕まれそうになった────」

「それは────つまり…、何者かが───魔物に対して、それと同じことをした、と…?」

 レド様は言葉にしながら、その意味するところを咀嚼する。

「何者かが…、意図的に魔物を魔獣化させようとした────そういうことか…?」

 レド様の言葉は戦慄をもたらしたようで、全員の───ラムルやディンド卿、ヴァルトさんでさえ、表情が強張った。

「だが────それと、ディルカリド伯爵や、セレナの弟たちと…、どういう関係が?」

 レド様と同じ疑問を、他の皆も抱いていることが窺える。

「この【純魔石】…、魔力が均等に凝固しているんです────魔術陣を書き込むのに、ちょうど良く」

 魔術陣は、魔力が均等に凝固している魔石にしか書き込めない。だからこそ、数に限りができてしまい、高値となっている。

「ヴァルトさん、ハルド君───ディルカリド伯爵家は、確か…、魔術陣を刻む魔石の調達を担っていましたよね?」

 以前───魔術について検討していて詳しく調べた際に、“ディルカリド伯爵家”のことを知った。

 そのときは、魔術によって魔物や魔獣を討伐して、調達しているのだろうと思っていたが────

「まさか────ディルカリド伯爵家は…、魔術陣を書き込む魔石を得るために、魔物を魔獣化させていた、と…?」

 レド様の呟きに、私は補足した。

「ディルカリド伯爵家が供給する魔石は、業界で扱う魔石の8割を占めていました。ディルカリド伯爵家は古い家柄ですし、何か秘技があるか───もしくは、魔石を探るような魔道具でも使っているのかなと思っていました。
でも───それにしたって、ディルカリド伯爵家の魔石の供給率の高さは不自然な気がしました。魔素が均等に凝固した魔石ができるのは、稀なことなんです。ですが───そういった魔石を造り上げていたというのなら…、納得がいく」

 レド様は────誰も何も言わない。私は話を続けた。

「セレナさんは、【魔力炉(マナ・リアクター)】を変えたら、魔力量がSクラス相当になりました。おそらく、伯爵やセレナ
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