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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#1
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「今日の鍛練は───ここまでにするか」
調練用の刃を潰した片手剣を下げ───レド様が告げる。私も両手の剣を下げ、頷く。
「そうですね。お邸に帰って、朝食にしましょう」
早朝、下級兵士用の調練場での鍛練を終えて、レド様と二人、お邸へと帰るべく踵を返す。
後宮を横切り、その先にある───子を生した妃たちの邸が並ぶ広場を抜け、その奥に広がる庭園へと踏み込む。
庭園を突っ切ると、ようやく私たちのお邸が目に入った。
つい先日改修し終えたばかりの───私たちの新しいお邸が、眩い朝日に照らされ、皇城の壁を背にして、くっきりと浮かび上がっている。
豪商が建てたというこのお邸は、三角屋根の建物の両脇にそれより低めの四角い建物がくっついていて、偶然にもレド様のお邸にシルエットが似通っていたので───バルコニーを取っ払い、玄関ポーチをレド様のお邸と同じデザインのものに設え直し、外壁と窓枠を同じような素材と色合いに変えただけで済んだ。
窓は前に比べたら少し大きめだが、同じ箇所にシンメトリーに配置されているので、印象は大きく違わないはずだ。
玄関ポーチに足をかける。
レド様のお邸の玄関ポーチは、古代魔術帝国のセキュリティーによって、私たちや配下となった仲間以外は弾き飛ばされるような仕様となっていたが───セキュリティーが高度過ぎることを不審に思われても困るので、今回は施さなかった。
その代わり、玄関扉自体と鍵、それに窓───というか建物全体に、念入りに【
防衛
(
プロテクション
)
】をかけて頑丈にしてある。
扉を開けて踏み入ると、私は、扉の前に仕込んである魔導機構【
洗浄
(
ウォッシュ
)
】を起動させた。レド様のお邸のものは自動で起動していたが、今度のは、ノルンに手伝ってもらい任意で起動するよう改造したのだ。
「お帰りなさいませ、旦那様、リゼラ様」
私たちの帰還に気づいたラムルが、寄って来る。
「朝食のご用意ができております。どうぞ、ダイニングルームへ」
新しいお邸も、1階部分の間取りはレド様のお邸と大差ない。
玄関ホールは吹き抜けになっており、玄関の正面に2階へと続く大きな階段、その左右にダイニングルームへの扉が設えられ、左側に応接室があり、右側に使用人用の部屋と各作業室が並ぶ。
ただ、玄関ホールは、大きな窓はなく、大掛かりなシャンデリアが吊り下がっており───そのせいで少し狭く感じる。
レド様のお邸のように、窓型ライトを施すことも考えたけれど、誰かに入り込まれた場合を考え、止めた。
その代わり、窓はすべて、すりガラスへと替え、孤児院と同じ“半窓型ライト”を施し光を補足してある。これは、辺境に赴くときには撤去するつもりだ。
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