暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十一章―ファルリエムの忘れ形見―#7
[4/4]
[8]
前話
[9]
前
最初
[2]
次話
は指揮官の才があると褒めていたが…」
話が一段落着き、ディンド卿の言葉を思い出したらしいレド様が、そんなことを言い出した。
「あれは、ディンド卿の買い被りです。集落潰しは何度もしていますし、運よく効率的に行えたのを、私の指揮の成果だと勘違いしてしまったのだと思います」
レド様がディンド卿の言葉を鵜呑みにしてしまわないよう、私は即座に否定したのだが────
「いえ、ディンド様の勘違いではないですよ」
私の言葉をレナスが否定した。
「え、ちょ───レナス!?」
「大規模な集落潰しを前にして漂う緊張感をものともせず───揺るぎのない態度で、ギルドマスターと遣り取りするリゼラ様は、それだけで圧巻でした。そして───ギルドマスターに要点を確認した後、集落潰しに参加する冒険者たちに挨拶をしたのですが…、簡潔な物言いだったにも関わらず───リゼラ様の凛とした雰囲気に、皆完全に呑まれている様子でした。ディンド様の仰った通り────あの一瞬で、冒険者たちを掌握したのです」
恍惚としたような表情で────レナスは滑らかな語り口で興行師のごとく語る。
いや、レナスは何を言ってるの?
もしかして、英雄伝にでもかぶれてるの?
レナスを止めようとしたとき、今度はアーシャが双眸をキラキラと輝かせて────弾んだ声音でレナスの後に続く。
「そうなんですよ!集落潰しって、ケガ人が結構出るし、下手したら死んじゃうこともあるから、いつもものすごく不安になるんですけど───リゼ姉さんがみんなの中に入った途端、みんなの顔から不安が消えたんです!」
「ちょっ───アーシャまで、何を言っ───」
「リゼ、少し黙っててくれ。レナスとアーシャの話を聴きたい。それで?」
「レド様!?」
レド様は、私が話の邪魔をしないよう、顔はこちらに向けないまま私を抱き込む。
私がレド様に動きを封じられ、止めることもできずにいるうちに───レナスとアーシャは、あのときの私の言動を、興奮気味に大げさに語り続ける。
何これ、新手の拷問?
私は、レド様に皆の前で抱き締められるという辱めを受け、その上、レナスとアーシャという信頼しているはずの仲間に褒め殺しにされ────心身共にボロボロとなったのだった。うぅ、酷い…。
[8]
前話
[9]
前
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ