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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十一章―ファルリエムの忘れ形見―#7
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は指揮官の才があると褒めていたが…」

 話が一段落着き、ディンド卿の言葉を思い出したらしいレド様が、そんなことを言い出した。

「あれは、ディンド卿の買い被りです。集落潰しは何度もしていますし、運よく効率的に行えたのを、私の指揮の成果だと勘違いしてしまったのだと思います」

 レド様がディンド卿の言葉を鵜呑みにしてしまわないよう、私は即座に否定したのだが────

「いえ、ディンド様の勘違いではないですよ」

 私の言葉をレナスが否定した。

「え、ちょ───レナス!?」
「大規模な集落潰しを前にして漂う緊張感をものともせず───揺るぎのない態度で、ギルドマスターと遣り取りするリゼラ様は、それだけで圧巻でした。そして───ギルドマスターに要点を確認した後、集落潰しに参加する冒険者たちに挨拶をしたのですが…、簡潔な物言いだったにも関わらず───リゼラ様の凛とした雰囲気に、皆完全に呑まれている様子でした。ディンド様の仰った通り────あの一瞬で、冒険者たちを掌握したのです」

 恍惚としたような表情で────レナスは滑らかな語り口で興行師のごとく語る。

 いや、レナスは何を言ってるの?
 もしかして、英雄伝にでもかぶれてるの?

 レナスを止めようとしたとき、今度はアーシャが双眸をキラキラと輝かせて────弾んだ声音でレナスの後に続く。

「そうなんですよ!集落潰しって、ケガ人が結構出るし、下手したら死んじゃうこともあるから、いつもものすごく不安になるんですけど───リゼ姉さんがみんなの中に入った途端、みんなの顔から不安が消えたんです!」
「ちょっ───アーシャまで、何を言っ───」
「リゼ、少し黙っててくれ。レナスとアーシャの話を聴きたい。それで?」
「レド様!?」

 レド様は、私が話の邪魔をしないよう、顔はこちらに向けないまま私を抱き込む。

 私がレド様に動きを封じられ、止めることもできずにいるうちに───レナスとアーシャは、あのときの私の言動を、興奮気味に大げさに語り続ける。

 何これ、新手の拷問?

 私は、レド様に皆の前で抱き締められるという辱めを受け、その上、レナスとアーシャという信頼しているはずの仲間に褒め殺しにされ────心身共にボロボロとなったのだった。うぅ、酷い…。

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