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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十一章―ファルリエムの忘れ形見―#6
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、皇妃たちだ。大体───それを言うなら…、詫びねばならないのは俺の方だ。皇妃の標的は俺だったのだから────ファルリエム辺境伯家は、俺のせいで滅びたようなものだ…」
レド様の声音に、悔し気な色が滲む。
私は思わず───レド様の肩に手を置いた。
レド様は、私の手に自分の手を重ね、激情を逃がすように一息吐くと───再び、口を開く。
「ディンド卿────どうか、俺に今一度力を貸してはくれないだろうか」
ディンド卿は、寝耳に水だったのか────眼を見開いた。
「貴殿は、剣の腕前もさることながら、用兵にも長けていると聴いている。そのために、爺様の後継となったということも。俺は…、愛するリゼを───俺に忠誠を誓ってくれた仲間たちを護りたい。だから───どうか、俺に───力を貸してくれないか」
レド様は、ディンド卿を真っ直ぐ見て────真摯に言葉を紡ぐ。
ディンド卿は、その緑色の双眸を陰らせ────レド様から逸らすように、眼を伏せた。
「せっかくの申し出ですが────お断りさせていただきます。自分には…、ルガレド様のご要望に応えられるような実力などないのです…」
拳を固く握り、ディンド卿は悲愴な表情で、続ける。
「自分は────俺は…、ファルリエム辺境伯家を護れず────バルドア傭兵団も護れなかった…。伯父上に…、バルドアに───後を頼むと言われていたのに…っ」
少し前に、バルドア傭兵団が代替わりしたらしいという噂は聞いていたけれど────ディンド卿が悔いるような…、何かがあったのだろうか。
「まだ幼い…、護るべき娘を、大義の為だと遠ざけたにも関わらず────結局、俺は何にも成せなかったのです。潜伏しているうちにファルリエム辺境伯家は解体され────辺境伯領は…、皇妃一派の手に渡ってしまった…。虚ろになった俺を拾ってくれたバルドアに恩を返したいと思っていたのに────それすらも…、成し遂げられず────再び失意のうちに彷徨っていたとき…、ルガレド様がようやく成人すると聞き及び────こんな俺でも何かお力になれるかもしれないと────俺はこの国に舞い戻りました」
ディンド卿の表情が───悲愴なものから、自嘲気味なものに変わる。
「この国に入国したとき…、俺は不安を抱いていました。ドルマとの国境であるこの街は、ベイラリオ公爵家門下にあるのだから、見つからないよう慎重に行動せねば────と。ですが、それは────自意識過剰に過ぎませんでした。俺のことを気に留める者などおらず────間近で擦れ違った領主やその配下ですら、何の反応をすることなく…、素通りして行きました。考えてみれば、当たり前のことです。ファルリエム辺境伯家を潰すために“後継者”が邪魔だっただけで────ファルリエ
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