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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十一章―ファルリエムの忘れ形見―#5
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解った!」

 私はそれだけ告げると───【身体強化(フィジカル・ブースト)】を発動して、地を蹴った。

 【対の小太刀】をベルトから鞘ごと引き抜くと、ディドルさんの前に身体を滑り込ませて、小太刀の刀身ほどもある魔獣の爪を、両手の小太刀で受け止める。

 そして、小太刀で魔獣の爪を絡めとって、ありったけの力を込めて魔獣の腕ごと振り下ろした。鋭利な魔獣の爪は、私の足元の地面にあっさりと深く食い込む。

 私は魔獣の爪に絡まったままの鞘から小太刀を抜き出し、抜身の小太刀を両手に携えて、太い樹木のような魔獣の腕に乗り上げ────奔る。

 魔獣が地面から爪を引き抜いたが────すでに二の腕まで昇り詰めていた私は、魔獣の腕を蹴り跳び上がると、魔獣の首を狙って両手の小太刀を閃かせた。

 先に右手の小太刀を、魔獣の首に食い込ませたけれど、強化された肉に阻まれ刃が進まない。間髪入れず、左手の小太刀を押し込んで右手の小太刀を力任せに進ませて、二振りの小太刀を強引に振り抜いた。

 切り離された魔獣の頭が、音もなく飛んでいった。

 私は、剣を振り抜いた勢いのまま魔獣の肩を踏むと、ゆっくりと後ろに倒れ込んでいく魔獣が、ある程度地面に近づいたところで飛び降りた。

 こっそり【心眼(インサイト・アイズ)】を発動させ、魔獣が息絶えていることを確認してから、地面に落ちていた鞘を拾って、小太刀を収める。


「皆さん、大丈夫ですか?」

 そう問いかけながら、ディドルさんたちに振り向くと────アーシャ以外の全員が、唖然とした表情で私を見ていた。

 誰も返事をしてはくれなかったが────どうやら、皆何処かしらケガをしてはいるものの、生きているようだ。

 私はベルトの後ろに括り付けたポーチからマジックバッグを取り出し、さらにその中から傷薬や回復薬、包帯などを取り出す。

「アーシャ、応急手当てをするから、手伝って」
「うん!」

 アーシャは、何だか────誇らしげな表情で、頷いた。

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