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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十一章―ファルリエムの忘れ形見―#5
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「魔獣ですか?」
「そうだ。帰り際、襲われたらしい。仲間が3人取り残されているそうだ」
「場所は?」
「トファルの森とヴァムの森を繋ぐ道の途中のようだ」
一本道だから案内は必要ないな。
「魔獣の詳細は?」
「おそらくブラッディベアで───巨大化しているとのことだ」
「了解。すぐ向かいます」
「頼んだ。オレたちも後から向かう」
「お願いします。────アーシャ!」
「はい!」
アーシャとジグを伴い、ギルドを飛び出す。
人通りが途切れた所で、私は【
認識妨害
(
ジャミング
)
】を発動し、続けて【
転移
(
テレポーテーション
)
】を発動する。道がヴァムの森に接する地点に跳ぶと、誰もいないことを確認して、【
認識妨害
(
ジャミング
)
】を解く。
そして───トファルの森方面へ向かって奔り出した。
魔力によって身体能力を強化している私たちは、程なくして、魔獣の姿を捉える。
なるほど────あれは確かにブラッディベアが魔獣化したものに違いない。
遠目には、ブラッディベアの姿そのままに巨大化しただけのように見えたが────近づいてみれば、両腕とその手先に埋め込まれた爪が、異様に発達しているのが目に入った。
【
心眼
(
インサイト・アイズ
)
】で視てみると、巨大化し変貌している割に、内包する魔力が少ないことに疑問が過ったけど────考えるのは後回しだ。
とにかく、魔力は身体強化に使われるのみで、魔法を撃ってくる心配はなさそうだ。
魔獣の前には、前情報と違い、4人の人間がいた。うずくまるように3人伏していて────魔獣からその3人を庇うように、一人の大柄な男が大剣を手に、間に立ち塞がっている。
灰色の短髪を後ろに流し、鷹の眼のように鋭く魔獣を睨みつけている男───あれは…、ギルドで会えたらと思っていた────ディドルさんだ。
ディドルさんは身体全体で荒い息をしていて───構えた左腕から血が滴っている。ケガを負っているみたいだ。
魔獣の左腕は中程で斬り落とされていた。ディドルさんの大剣が血に塗れていることから、ディドルさんの仕業と見ていいだろう。
ブラッディベアは熊型の魔物で、動作が素早い上、膂力があり───低ランカーでは相手にならない。血のように真っ赤な毛の色と───その血気盛んな獰猛さの二重の意味で、“ブラッディベア”と呼ばれている。
そんなブラッディベアが魔獣化したのだ。いかに手練れとはいえ、3人ものケガ人を庇いながら、一人では手に負えるわけがない。
魔獣が右腕を振り被る。ディドルさんに逃げる様子はない。おそらく、自分が避ければ、後ろにいる冒険者に害が及ぶからだろう。
「アーシャ、魔獣は私がやるから、あの人たちをお願い!」
「
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