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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十一章―ファルリエムの忘れ形見―#4
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に彩られていた。

「ヴァルト…」

「大体、魔力量が兄弟の中で一番少ないってだけで、別に魔術が使えないわけではないのに、落ち零れ呼ばわりするのがおかしいんだ。なあ、そう思わないか、隊長さん」

 ヴァルトさんが、私に話を振る。

 ヴァルトさんは意外なことに、かつての主や跡取りだったセレナさんの兄よりも、セレナさんの味方のようだ。

 そして───何か思うところでもあるのか、ハルド君は何も言わずに黙って会話を聴いている。

「ヴァルトさんの言う通りです。魔術が発動しないくらい魔力量が少ないならともかく───まあ、それでも落ち零れ呼ばわりはどうかと思いますが───集落潰しの際、あれだけの魔術を行使しても、魔獣に魔術を放つことができたくらい魔力量があるのですから、それだけで落ち零れと決めつけられる謂れはないと思います」

「だよな。そんだけありゃ十分だよな。あいつら、お嬢が落ち零れっていう先入観が強過ぎて───お嬢が自分と同じ結果を出しても、バカにするんだぜ。しかも、そのことに自覚がないんだよ」

 イルノラド公爵家の面々が────特に、公子や公女が思い浮かぶ。

 公爵家の敷地内で遭遇するたび、私を『出来損ない』と呼び───私がイルノラド公爵家に生まれたことを口汚く罵ってきた。

 私が生きているだけで───同じ血を引いていることが恥ずかしいのだそうだ。私のことなど───何も知らないくせに────

「悪いレッテルというのは────本当に…、根強いですよね。一度レッテルを貼られてしまうと、剥がし取るのは難しいのに────人は簡単に、悪いレッテルを貼り付ける」

 洞察力がない輩ほど────よく相手を見ないまま、自分の貧相な思い込みで、そうしたレッテルを他人に貼り付ける。

 その上、悪いレッテルを免罪符に、その人を虐げることが正当だと───自分には他人を虐げる権利があると思い込んでいるのだ。

 …ああ、駄目だ────これ以上考えていると、あの人たちや皇妃一派に対する───自分の奥底に焦げ付いている怒りを思い出してしまう。もう話題を変えた方がいい────


◇◇◇


「わざわざ送ってくださり───ありがとうございます、リゼラさん」

 孤児院の【転移門(ゲート)】へ跳び、【転移(テレポーテーション)】で、宿屋『月光亭』の一室に直接三人を送る。

「いえ。何か、不具合や変えて欲しいところがあったら、連絡してください」
「はい。ありがとうございます」

 この後、私は“お城”へと跳び───早速、新しいお邸のリフォームを始めるつもりだ。

「こちらの受け入れ態勢が整い次第、皆さんを雇用させていただきたいと思っていますので────それまでは、魔物の間引きや、魔獣討伐の方、よ
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