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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十一章―ファルリエムの忘れ形見―#2
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、ファルリエム辺境伯を継ぐに相応しい剣術の腕を誇るお方でしたからね。向こうでも剣客として名が知れているようです。確か───『バルドア傭兵団』という最強の傭兵団に所属しているとか…」
“バルドア傭兵団”────?
ベルネオさんの言葉に、一瞬、周囲の時が止まったように思えた。
私の頭を、先日見たばかりの灰色の髪と緑眼をした壮年の男性の姿が
過
(
よぎ
)
る。
「もしかして─────“戦闘狂のディドル”…?」
そういえば、あの人の振るう剣────レド様が使う剣術に、太刀筋が似ていた気がする。
「そうです、リゼラ様。よくお判りになりましたね」
私が呟くように零した言葉に驚いたようで、ベルネオさんは眼を瞬かせた。
「…レナス?」
私が呼ぶと、レナスが【
認識妨害
(
ジャミング
)
】を解いて、姿を現す。
「レナスは、ディンド卿とは会ったことがなかったんですか?」
「…“影”として、セアラ様が側妃となる前────辺境伯領にいるときに、壁を隔ててでなら何度か…。────申し訳ございません、気づくことができませんでした」
レナスが落ち込んだような声音で謝罪を口にしたので、私は慌てて首を振る。
「いえ、責めているわけではないんです。ただ───ちょっと疑問に思っただけで────」
「リゼ?どういうことだ?────ディンド卿に遭ったのか?」
レド様が私たちの会話から察したらしく、口を挟んだ。
「はい。ディドルさん───ディンド卿は、現在、Bランカー冒険者として、この皇都に滞在しています」
私が答えると、レド様だけなく───エル、ベルネオさん、ラムル、ウォイドさんまでもが目を
瞠
(
みは
)
った。
特に、エルは本当に驚愕したようで───口まで大きく開けて、珍しいことに素の表情を
曝
(
さら
)
している。
「リ───リゼ、それ本当なの…!?」
「うん。一昨日、集落潰しで共闘したから、確かだよ」
「何で…、そんな近くにいながら────あの人は、私に連絡の一つも寄越さないのよ…!!」
エルが、吠えるように叫ぶ。
普段は大人びているエルの年相応の様子に、私はちょっと微笑ましくなる。
「教えてくれてありがとう───リゼ。後でこちらから連絡してみるわ」
ウォイド劇団は、小規模ながらも各地で人気を博す劇団だ。
今回の演目も、この皇都で2ヵ月に渡って公演を続けられるくらいロングランとなり───観劇は貴族の娯楽だけど、ウォイド劇団の名は庶民の間でも有名だし、皇都に滞在していることは庶民の口にも上っている。
ディンド卿も、エルたちが近くにいることは知っているはずなのだ。
それなのに、連絡して寄越さないとは────
「
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