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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十一章―ファルリエムの忘れ形見―#2
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たウォイドさんとベルネオさんも、エルに倣って表情を引き締める。
エルは私の正面に立つと、流れるような動作でまた片膝をついた。そして、私の右手を取ると───手の甲に額を押し付ける。
これは、ラムルからどう行動すべきか通達があったに違いない。
「わたくしティエラは────この命尽きるまで、誠意をもって貴女様にお仕えすることを誓います」
そう
厳
(
おごそ
)
かに誓いを立てるエルは────さすが巷で人気を博す女優だ。少年の格好をしていることもあって、まるで物語の中の騎士のようで、舞台さながらに感じる。
だけど、その言葉が演技ではなく────本心からのものであることは、感じ取れた。
「貴女のその気持ちに感謝を────ティエラ」
身体の───心の奥底から湧き上がる仄かに温かいものを、エルに流し込む。その温かいものが、エルを包み溶け込んでいった。
私は、【
遠隔
(
リモート・
)
管理
(
コントロール
)
】でアイテムボックスから魔石を取り寄せ───手の中の魔石を創り替えるべく、【創造】を発動させた。
エルは、確か────ナイフを扱っていたはず。
アーシャのために創り上げたような
月銀
(
マーニ・シルバー
)
製の対のナイフを創り上げる。
手の中の魔石は、光を迸らせて形を変えてゆく。一度創り上げているので、時間はかからない。
「その忠誠への感謝と信頼の証として────貴女に、この【魔剣】を授けます」
「有難き幸せ」
私が差し出した【魔剣】のナイフを、エルは両手で
恭
(
うやうや
)
しく受け取った。
◇◇◇
「本当にすごいわね、古代魔術帝国の技術もリゼの魔術も…!」
エルに続いて、ウォイドさんとベルネオさんにも祝福を施し、魔剣を授けてから、祝福や【契約】について一通り説明が終わると────エルは興奮冷めやらぬ感じで言う。
「ところで、この【
念話
(
テレパス
)
】って、配下同士でも使えるの?」
「勿論」
「それは助かるわ。ベルネオが商談するとき、こっそり指示が出せる…!」
「確かに、エルに指示を仰ぐことができるのは、俺としても助かります」
「なるほどね。私も何かあったら、エルに意見を仰いでもいい?」
「勿論よ!いつでも、頼って頂戴!」
得意げに胸を逸らすエルに、私は小さく笑みを零す。
「それにしても────惜しいわね。リゼがいれば、劇団も商会も飛躍できるのに…。私────本当は、リゼには、実家と絶縁したら、私のビジネスパートナーとなって欲しかったのよ」
エルが、残念そうに息を吐く。
レド様の肩が、ぴくりと揺れたが────エルは気づかず続ける。
「リゼが主役を務めた公演、今も“幻の舞台”として囁かれてるのよ。あの
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