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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十一章―ファルリエムの忘れ形見―#1
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れて潜伏していたにも関わらず、マナーや立ち振る舞いが完璧だ。

「正解ですわ、ルガレドお兄様。わたくし────前世は、アデミル=サライフという名のアルドネ王国民でしたのよ」

「アデミル=サライフ……。あの────高名な女商人か?100年近く前に存在した────」

 レド様がその名を知っていたことに、エルは嬉しそうに笑みを零した。

「ええ、そのアデミル=サライフという女商人ですわ。100年前の知識とはいえ、商人としてのノウハウはそれほど変わっておりませんし───わたくしの記憶、そして今世で培った技術は…、必ずや、ルガレドお兄様のお役に立てると愚考致しております。ですから────」

 そこでエルは一度言葉を切って────先程と同じように深々と頭を下げた。エルの斜め後ろに控えていたウォイドさんとベルネオさんも、追随して頭を下げる。

「どうか────わたくしたちを…、ルガレドお兄様の配下に加えてくださいませ」

「ここにいるリゼは、俺の親衛騎士であるだけでなく、いずれ俺の妻となる。リゼにも俺と同様に仕えてもらうことになるが────異論はないか?」

「勿論、異論などございませんわ」
「私も異論はございません」
「俺も異論はありません」

 レド様は、三人の応えに満足げに頷く。

≪ノルン?≫

────三人とも、【契約魔術(コントラクト)】の発動が可能です、(マスター)ルガレド────

 レド様は三人に向き直ると────口を開いた。

「エル、ウォイド、ベルネオ───是非とも、俺たちの仲間となってもらいたい。そして、いざというときは────力を貸して欲しい」

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