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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十一章―ファルリエムの忘れ形見―#1
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良かったのだと思ってくれているようなので────それは素直に嬉しい。

 私は、ラムルのその思いに、笑みを返した。


「ルガレドお兄様、この者をご紹介させていただいても?」

 エルが、ウォイドさんを示して言い出し────レド様が頷く。

「こちらは、お父様の側近だったウォイドですわ。今は、わたくしの護衛兼保護者をしております」

「お初にお目にかかります、ルガレド様。ウォイドと申します。────8年前の件は…、どうか、謝罪させていただきたく────」

「謝罪?」

「私どもが…、ファルリエム辺境伯家を護り抜くことができていれば────ルガレド様が、後ろ盾を失くして────苦境に陥ることなどなかったものを────本当に…、申し訳ございません」

「いや…、悪いのは皇妃一派だ。お前も────よくぞ無事でいてくれた」

 レド様が首を振り、そう労うように言葉をかけると、ウォイドさんは眼を潤ませた。

「勿体なきお言葉でございます。ルガレド様も、あの魔窟のような皇宮にあって、よくぞご無事で────」

 ウォイドさんの言葉が心からのものだと感じ取ったのか────レド様は、嬉しそうに小さく口元を緩めた。


「今後のことを話す前に────ルガレドお兄様、リゼ。馬の件、ありがとう存じます」

 エルがそう言って頭を下げ────レド様と私は、揃って眼を見開く。

「リゼが馬を安く払い下げる予定だった相手というのは────ティエラ嬢だったのか…」
「私としては、ウォイド劇団───ウォイドさん相手のつもりだったんですけどね」

 知らなかった───あるいは気づかなかった情報ばかりで、苦笑が浮かんだ。

「劇団も───ベルネオ商会も、まさかエルが取り仕切っていたなんてね…」
「さすが、リゼ。今の一言だけで、察するなんて」
「察するように言ったんでしょ?」

 劇団の方は、以前から何となくそうではないかという気はしていた。
 ウォイドさんが、ごく偶に、エルが自分よりも上の存在であるかのように振舞うことがあったからだ。

 だけど、ベルネオ商会の方は────これに関しては、完全に初耳の情報だった。

 ただ、初めからベルネオさんが商人であることに違和感を感じていたので、彼らの上下関係を知って察することが出来たに過ぎない。


「ティエラ嬢は────」
「わたくしのことは、どうかエルとお呼びくださいませ、ルガレドお兄様」
「…エルは、もしや────“記憶持ち”か?」

 レド様の問いに、エルはにっこりと満面の笑みを浮かべた。

 さすがは────レド様だ。

 エルの言動や表情は、大人びているという言葉だけでは説明できない───年齢に見合わないものだし、6歳で立場を追わ
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