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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十章―見極めるべきもの―#7
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 セレナさんが、何気なく口にした“落ち零れ”という言葉────
 そして、それを語ったときのセレナさんの表情────

 “出来損ない”とレッテルを貼られた私には────身につまされるものがあった。


 彼女の願いに───その決意に、応えたい気持ちはある。
 だけど、私には大事な───何に換えても優先すべきことがある。

「ごめんなさい、セレナさん。それはできません。私には───やらなければならないことがあるのです」

 セレナさんの真剣な申し出を断るからには、きちんと事情を打ち明けるべきだと考え────私は再び口を開いた。

「セレナさんが、この国の貴族の出身というのは事実ですか?」
「ええ…」
「それなら───イルノラド公爵家の次女について、噂を聞いたことはないですか?」

「イルノラド公爵家の次女───授かった神託が気に入らず、勉強も社交もしなかったという───我が儘で傲慢だと噂されている…、あのご令嬢のことですか?」

 セレナさんの言葉に、傍にいたアーシャが───姿をくらませたままのレナスが、怒気を発するのを感じた。

 それを嬉しく思いながら────私は続ける。

「あれは───その噂のイルノラド公爵家の次女とは…、私のことなんです」

 セレナさんと、セレナさんの後ろに控えているハルド君が眼を見開いた。

「でも…、貴女は───生家で冷遇され、冒険者として身を立てたと───」

「ええ、その通りです。私が授かった神託を気に入らなかったのは────私ではなく、母であった公爵夫人なんです。
私は───家庭教師をつけてもらえない、社交に出してもらえない────そればかりか、食事すら与えられませんでした。
だからこそ────こうして冒険者として身を立てた」

 湧き上がる感情を押し止めるように────私は一度眼を瞑って、言葉を続けるためにまた眼を開く。

「先日───成人した際、私はイルノラド公爵家から除籍されました。
そして…、このレーウェンエルダ皇国第二皇子であられるルガレド殿下の親衛騎士となりました。
 私はルガレド殿下を───レド様を護り抜くことを…、自分の意志で心に決め───誓っています」

 セレナさんの強い眼差しに応えるように、私はセレナさんを見遣る。

「ですから、ごめんさなさい───セレナさん。私は貴女を弟子にすることはできません」

 セレナさんは、私の言葉に諦めるどころか────先程よりも強い決意をその瑠璃色の瞳に滲ませた。

「それでしたら猶更です。どうか私を…、貴女に───ひいては、ルガレド皇子殿下に仕えさせていただけないでしょうか」

 思ってもみなかったセレナさんの申し出に、私は虚を衝かれる。

「私の生家は…、先程リゼ
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