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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十章―見極めるべきもの―#7
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ラさんが仰っていた通り、この国の貴族家でした。ですが、3年前───跡取りであった兄が…、ジェスレム皇子の反感を買い、ジェミナ皇妃によって取り潰されました」

 そこで言葉を区切り───セレナさんはその長い睫を伏せ、大きな眼が陰った。

「兄は、魔術師として国に伺候していました。兄がこの“氷姫”を行使しているのを見たジェスレム皇子が、自分も使ってみたいと我が儘を捏ねたのだそうです。
兄は、この───先祖伝来の家宝である“氷姫”を…、他人に───家族にでさえ触らせるのを良しとしていませんでした。特に、落ち零れである私には───近づくだけで、烈火のごとく怒るくらいでした。
兄は────ジェスレム皇子の要請を断りました」

 セレナさんが、固く瞼を閉じた。震える声で、話を続ける。

「兄は魔物討伐に失敗し────遺体となって戻りました。女子供が見るものではないと、私には見せてもらえませんでしたが────その亡骸には…、無数の穴が開いていたそうです。まるで────“氷姫”の魔術を向けられた魔物のように────」

「………」

「“氷姫”も後で返されました。ただ氷の欠片が放出されるだけで、つまらない代物だという───ジェスレム皇子の言付けと共に。兄を殊更愛していた父は抗議に出向き…、二度と戻っては来ませんでした。父が戻らぬまま───我が伯爵家は取り潰しを下され、私には“氷姫”だけが残されたのです」

 セレナさんは再び眼を開けると、決意を湛えたままの眼を私に据えた。

「私は────兄ばかりを気に掛ける父も、私を落ちこぼれと言ってはばからない兄も好きではありませんでした。幼い頃に母を亡くして、父にも兄弟たちにも愛された覚えがない私には…、あの家に楽しい思い出などなかった。
でも────それでも…、父も兄もそんな風に殺されていいとは、私には思えない…。あの皇子の我が儘のためだけに生まれ育った家を取り上げられて、それを────良かったとは思えないんです」


 セレナさんの語ったことは、とても痛ましいと同時に───その心根が羨ましくも感じた。

 もしも────イルノラド公爵家が同じ目に遭ったとして…、私は自分がセレナさんのように考えられるか判らなかった。

 ビバルとダムナの末路を報告されたときに湧き上がった恐れが甦る。

 ……駄目だ────切り替えないと。
 今は────そんなことを考えている場合じゃない。


「セレナさんが私に───レド様に仕えたいのは…、ジェスレム皇子とジェミナ皇妃に復讐をしたいからなのですか?」

 もし、そんな理由だけでレド様に仕えたいというのなら───私は受け入れられない。

「いいえ。私は───復讐してやりたいと思うほど…、そこまで父も兄も愛していません。
ただ、
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