第4話 母上危機一発 中編
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か」
「そうですね」
このまま楽しい買い物で終わるはずでした。
この買い物に出かけたことが切欠で、正宗が夫や私に黙って何をやっていたのかを知ることになるとは、このときは露程にも思ってもいませんでした。
私は一枚の布を手で握り締めていた。
その布には私の最愛の妻を誘拐したと書かれており、身代金を要求するものだった。
「許せん!賊どもめ!私の妻を誘拐するとは許せぬぞ!」
私は執務室の机を怒りに任せて殴りつけた。
「太守様、落ち着かれませ。まだ、危害を加えられてはいないと思われます」
長い付き合いになる老齢な武官が冷静に話してきた。
「貴様に何がわかるというのだ!安全であるという保障がどこにある!」
「奥様に危害を加えるつもりなら、わざわざそのような文を寄越しませぬ」
「仮にも一群の太守にこのような真似をして、ただでは済まぬのことは馬鹿でもわかります」
「それに実行した奴等の目星も検討がつきますゆえ」
「誰だ、その痴れ者は!」
「多分、例の山賊どもでしょう」
「それは領内の山賊の寄せ集めのことか?」
「御意」
「あれだけ膨れれば村を襲うくらいでは、集団を維持するのは難しいと思われます」
「奥様の身の安全を考えれば、ここは身代金を用意すべきでしょう」
「し・・・しかし、民のための税金だ。私の妻のために使うことなど・・・できぬ・・・」
本音はそうしたいが、民のための税金を自分のために使うことなどできない。
私の矜持が許さない。
「別にくれてやる訳ではありません」
老齢な武官を鋭い目つきで太守に言って来た。
「奴等に金を受け渡したところで、奥様を無事返す保障などございません」
「故に、受け渡し場所に侍女に扮した女の武官を紛れ込ませ、奥様の居られる場所を突き止めてみせます」
「奴等とて馬鹿ではない・・・。バレたら妻はどうなるか・・・」
「太守様、お気をしっかりお持ちください」
「後のことは、この私にお任せください!必ずや助け出してご覧にみせます」
・・・・・・・・・。
「妻のことを・・・頼む!」
私にはどうすればいいのか判らなかった。
妻の無事を祈るしかできない私が情けなかった。
「はっ!必ずや奥様を助け出してみせます!」
私は拱手する老齢な武官に全てを託した。
あの教育ジジが授業を急遽とりやめて、父上の元に行っています。
家人の様子も何かソワソワして変です。
私に何か隠していると思います。
はじめは私の誕生日なので何かサプライズを考えているのかなと思っていました。
それにしては変です。
屋敷の警備
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