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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十章―見極めるべきもの―#4
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────聞いたことがある。
 女性1人と男性2人の混成チームで、女性は数少ない“魔術師”らしい。

 前述の通り、現在では魔術を行使するには魔術陣を書き込んだ魔石が必要となるが、とても高価なので、魔力はあっても魔術陣が手に入らない者も多いため───冒険者において、魔術師の数は戦士に比べたら圧倒的に少ない。

 冒険者に限らず───ほとんどの魔術師は、貴族か裕福な商家の出だ。

 『氷姫』の魔術師も───どこぞの貴族家のご令嬢だという噂だった。


 それらしい3人組を目の端に捉える。

 ラナ姉さんと同じ年頃の水色の髪に瑠璃色の双眸をした女性────この人が件の魔術師だろう。
 白皙(はくせき)の儚げな女性で────確かに貴族のご令嬢に見えた。

 それから───額に太い刃傷がある、蓄えた髭と(たてがみ)のような短髪に白髪が混じる壮年期を過ぎた男性。
 年齢の割にガタイが良く───両手剣を背負っている。

 もう一人は───私より一つ二つ年下らしい、気の強そうな茶髪の少年。どこかラギを思わせる。
 大振りの短剣とショートソードを腰に提げ、弓と矢筒を背負っている。

 白髪混じりの男性と気の強そうな少年は、血縁なのか────どことなく雰囲気が似通っていた。

 そこまで見て取ると────私は、再び意識と視線をガレスさんに戻す。


「集落の詳細は?」
「集落は円形で、約2mの高さの塀に囲まれてる。出入り口は3ヵ所。扉はない。中央に見張り台があって、アーチャーが3頭。総数は100以上。ロードの存在は確認されていない」
「解りました。ありがとうございます」

 それだけの規模だと───視認はされていなくても、オーガロードがいる可能性は高い。

 集落の規模が大きいほど、魔物たちの食糧は安定する。
 魔物たちは別の魔物を食糧とすることが多く───それも血抜きをせずに血の滴る生肉を食らうので、含まれる魔素量もその分だけ多量になり、変異種も生まれやすい。

 今回の規模ならば────変異種が複数いてもおかしくないくらいだ。

「リゼ、指揮を頼む」
「了解です」

 こういった場合、通常は一番ランクの高い者が指揮をすることになる。

「案内は?」
「森の入り口に、『黄金の鳥』の誰かしら待機してくれているはずだ」
「解りました。荷馬車は後から?」
「ああ。少し間を置いて、出発させる」

 あまり大規模な団体で森に入ると、オーガに気づかれて警戒される恐れがある。


 私は、ガレスさんから───これから共闘することになる冒険者たちへと向き直る。

「今回の集落潰しの指揮を任された、Sランカーのリゼラです。よろしくお願いします」

 そう言って、全員の表情を観察する
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