暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十章―見極めるべきもの―#3
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「あの…、お疲れ様です、レド様…」

 夕方、ロウェルダ公爵邸から直接“お城”へと来たレド様は────大変ご立腹なご様子だった。

 恐る恐る挨拶をすると、レド様は憮然とした表情で、重々しく口を開く。

「…俺は────無理だけはしないでくれと言ったよな?」
「いえ、あの…、無理はしていませんよ…?ノルンの件は、ちゃんとレド様にお話ししてからするつもりでしたし────共有魔力も使わせていただければ事足りますので、別に無理をするとまではいかないかな、と…」

「…鳥のときも、アルデルファルムのときも、魔力の使い過ぎで倒れたのを忘れたのか?」
「ぅ、あれは───確かに白炎様のときは魔力の使い過ぎですけど…、アルデルファルムのときは、体内の魔力がほぼ空の状態だったからで───共有魔力に切り替えて魔力を補充できれば、倒れるようなことはないか───と…」

 言いながら────自分でもこれは言い訳でしかないと自覚する。

 レド様は私をあんなに心配してくれていて────私は、心配させるようなことはしないと言い切ったのに…。

「…………ごめんなさい、レド様」

 私はレド様の顔を見れなくて、項垂れる。

 あれだけ啖呵を切っておいて、昨日の今日で破ってしまうなんて────レド様に呆れられてしまったかもしれない…。

 レド様が溜息を一つ吐いて───私に近づくのが、俯いていても判った。

 そして───次の瞬間には、私はレド様に抱き締められていた。

「リゼ────お願いだから…、もっと自分を大事にしてくれ。リゼが、ただノルンの願いを叶えてあげたかっただけだということは、解っている。
リゼにとっては────無理をしているつもりはないのかもしれないが…、周囲から───リゼを大事に思っている者から見れば、リゼは抱え込み過ぎだ。もっと周囲を───俺を頼ってくれ」

 レド様の声音には、呆れや怒りの色はなくて────私を心配する思いだけが感じ取れた。

 大事な人にこんなに心配させてしまったことに────胸が(きし)む。

「ごめんなさい…」

 私はもう一度、心からそう呟いて────レド様の背中に腕を回してしがみついた。


◇◇◇


「なるほど…。では────現在のノルンは精霊獣に近いのか…」

 精霊樹の森に場を移して、アルデルファルムを交えて、レド様にノルンの現状を説明する。

 アルデルファルムは、レド様が来てくれたことが嬉しいらしく、レド様を囲うように寝そべっている。

 まあ───そういう私は、精霊獣たちに埋もれているのだけれども。

「それで───どうすればいいんだ?ノルンに魔力を注ぎ込めばいいのか?」
「はい。“結界の間”のときと同じように───ノルン
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ