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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十章―見極めるべきもの―#1
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で視る。

 その魔術式を発する()()は、淡く光っている。以前のノルンと同じ────【案内(ガイダンス)】の輝きだ。

 【心眼(インサイト・アイズ)】で、じっと見つめていると────その光の中央に、まるで地球の内核(コア)のように凝縮された光球が視えた。

 視続けていいると────それが、立体的な魔術式だと判った。

 魔術式を端から辿るように少しずつ丁寧に視ていく。繊細に編み込まれた魔術式の中に書き込まれているのは────命令と禁止事項だ。

 これだ、この禁止事項────これのせいで、命令された以外の行動を禁じられている。これを消去できれば、ノルンは自由に動けるはずだ。

 もう一度、注意して魔術式をつぶさに確認してみたが───アルデルファルムに刻まれていた“刻印”のように、書き換えたり消し去ったりすると宿主を破壊するというような仕掛けは見当たらない。

 目的を達成することができたので、私は【心眼(インサイト・アイズ)】を解除した。

「………」

 終わりを告げようとジグの方を見ると────ジグは何やら怪訝な表情をしている。

「ジグ?」
「…あ、すみません、リゼラ様」
「何か、不可解なことでもありましたか?」
「…リゼラ様、この魔石を────分析してみていただけますか?」

 私はジグに言われるがまま、再び【心眼(インサイト・アイズ)】を発動させた。そして───ジグの示す魔石を手に取る。


【純魔石】
 魔物に大量の魔素が注がれることによってできた魔石。魔物の魔力のみが凝固された通常の魔石より、含まれる魔素の量が多い。


 何これ────どういうこと?()()()()()()()()()()()()()…?────これでは、まるで…、誰かが意図的に魔素を魔物に与えたような────

「リゼラ様、これはどこで討伐した魔物───あるいは魔獣の魔石であるか、覚えていますか?」

 ジグにそう訊かれたが───魔石は基本、形や大きさ、凝縮された魔素の含有量は多少差があるものの、例外なく色のないガラスのような石で、見た目はどれも似たり寄ったりだ。

「いえ…、正直、判別がつきません。【転移(テレポーテーション)】で移動して───色々な場所で狩りをしましたから…」

 何だか嫌なものを感じたが────どこで狩った魔物のものか判らない以上、追求しようがない。

 冒険者ギルドに報告したいが、詳細が判らない上に、魔術で移動しているため───報告することはできない。

 これからは、狩りをする際───留意しておいた方がいいかもしれない。

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