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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十九章―誓いと祝福―#7
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※※※


「そうですか…。この邸を────」
「ええ。ですから───代わりのお邸の手配をベルネオ商会にお願いしたいのです」

 夕食と夜の一時を終え、ルガレドとリゼラが自室に引き揚げた後───ラムルは、リゼラに呼び出された。

 リゼラは、深夜に呼び出したことを申し訳なさそうに謝罪してから、ラムルに、ルガレドがこの邸を持って行きたいと願っていることを伝え───それに伴っての相談事を切り出した。

 ベルネオ商会では、確かに不動産も取り扱っている。

 リゼラのことだ。以前にでもベルネオ商会のことを調べ、そのことを承知しているからこそ、言い出したのだろう。

「かしこまりました。早速、手配を致しましょう」
「規模としては、このお邸くらいか、もしくは少しくらいなら大きくても構いません。今後のことを考えると、使用人用の部屋数がそこそこある方が良いです。古さや内装はどうとでもできますので、予算を踏まえつつ、大きさと部屋数重視でお願いします」
「解りました」

「それと───ラムル。これを機に、レド様にベルネオ商会を引き合わせませんか?」
「…私も、それを考えておりました」

 何かあった場合、ルガレドが単独でも頼れるように、ベルネオに引き合わせておいた方がいい。それは、ラムルも前々から考え───時期を窺っていた。

 リゼラは───ルガレドを傍で護り抜くことを決意しながらも、常に最悪の事態をも考慮し備えておこうとしているように見える。

 これは、冒険者という職業柄なのか────それとも、気質ゆえなのか。


「ベルネオさんは、レド様に対しては、どのようなスタンスなのですか?」
「忠誠を誓っております。有事の際は駆け付ける心づもりのようです」
「そうですか…。────これはまだ構想の段階なのですが、新たな“主従の契約”を構築しようと思っているんです」
「新たな“主従の契約”────ですか?」

 ラムルは、眼を瞬かせた。

 昼間のあの神の忠言もあって、リゼラは古代魔術帝国の魔術による主従契約は控えるだろうと思ってはいたが────そこまで考えているとは思いも寄らなかった。

「ええ。このピアス───【主従の証】による【念話(テレパス)】と【把握(グラスプ)】は必要ですし、何より【契約魔術(コントラクト)】は忠誠心がないと発動しないようなので、不安分子を弾くためにも、今後も利用はするつもりです。ですが、【魔力炉(マナ・リアクター)】と【魔術駆動核(マギ・エンジン)】は凍結しようと思っています」

「凍結、ですか?────支給しないのではなく?」
「はい。二度か三度くらいなら魔術を使っても魂魄の位階は上がることはないと、白炎様は仰っていました。ですから、いざという時のために、
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