暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十九章―誓いと祝福―#6
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 夕食後、いつものようにサンルームで過ごすため、私はレド様とダイニングルームから出た。

 お気に入りのソファに、並んで座る。

 ネロはいない。どうもネロは───私とレド様がここで過ごすときは、気を使って別の場所へ移動しているようだ。
 探ってみると、今はヌックスペースのソファで寝ている。

 今日も───朝から色々なことがあったな。

 礼服のことに始まり、ラナ姉さんに加護と祝福を授けて────ラナ姉さんが仲間に加わって、他の仲間たちにも加護を授けて────シェリアと約束を交わして、ノルンの望みを知って─────でも、まだ一つ、一番気になることが残っている。


 レド様は、何だか言葉少なだ。

 やっぱり、何か思い悩んでいることがあるのだろうか。
 だけど─────訊いてもはぐらかされるような気がする。

「レド様…、ラナ姉さんのこと、ありがとうございます」

 まずは、言おうと思っていたお礼を言葉にした。

「いや。ラナがついて来てくれるのは、本当に助かる。それに───ラナは、アーシャと共に、リゼの支えとなってくれるはずだ」

 ラナ姉さんが一緒に来てくれることを、本心からレド様は喜んでくれている。それなら────あのとき、何がレド様の琴線に触れたのだろう。

 あのとき、何を話していたっけ…。

 確か────ラナ姉さんを引き続きロウェルダ公爵邸で預かってもらえるよう、交渉するという話だった。このお邸では使用人部屋が足りず、ラナ姉さんが寝泊まりする場所がないから─────

 もしかして…、レド様が悩んでいるのは────このお邸のこと…?

「リゼ?」

 気づくと、レド様が、心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

「レド様…」

 どう切り出せば、レド様は打ち明けてくれるだろう。

 最近、皆もそうだけど───特にレド様は、私が疲れていると思って心配してくださっている。

 きっと、私の負担を考えて、悩みがあったとしても打ち明けてはくれない。
 それは────私を思いやってのことだとは解っている。

 でも───何だか寂しくなってしまった。私は…、レド様の力になりたいのに────何でも分かち合いたいのに────

「リゼ?本当に…、どうした?」
「レド様───私は…、レド様の親衛騎士です。そして───婚約者です。
私では頼りになりませんか?───レド様のお力にはなれないですか…?」

 私が言い募ると────レド様は、眼を見開いた。

「…気づいていたのか」

 レド様は、くしゃりと顔を歪め、泣く寸前のような───苦笑のような、そんな表情になった。

「何故、リゼには判ってしまうんだろうな…。ラムルやカデアでさえ、気づいていなかったよ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ