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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十九章―誓いと祝福―#5
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うん、約束。だから、シェリアは、そのためにも───私たちのことを理解して、協力してくれる旦那様を見つけてね?」
「ええ、解ったわ。わたくしとリゼの仲を邪魔するような夫なんて願い下げだもの。きちんと吟味して選ぶことにするわ」
「ふふ、そうして」
「リゼこそ、リゼを独り占めしようとしないように、殿下をちゃんと説得してちょうだいね?」

 シェリアと言葉を応酬して────二人で笑い合う。


「シェリア────加護を授けることはできないけれど…、祝福をあげる」

 私はシェリアの手を取って、告げる。

「祝福を…?」
「祝福を与えられると、その人が進むために───道を切り拓くために必要なものを引き寄せることができるんだって。ただ───それを掴めるかは、本人の努力次第らしいけど」

 そこで言葉を切って、私はシェリアに微笑みかける。

「でも────努力さえしていれば、必ず道を切り拓くことができるから」

 シェリアは驚いたような表情を見せた後、ふわりと笑った。

「リゼ…、ありがとう」

 シェリアのその笑みを受けて────私は、先程、皆に与えた熱くなった感情が溢れ出たような“加護”とは別の───自分の奥底から湧き上がった仄かに温かいものをシェリアへと流し込む。

 その仄かに温かいものが、シェリアを包んで───シェリアの中へと溶け込んでいったのを感じた。

 意識して、祝福を授けたのは初めてだったが、上手くできた気がする。【心眼(インサイト・アイズ)】で分析してみると、ちゃんと祝福された状態になっていた。


 私は立ち上がって、シェリアの傍に控えているカエラさんの許へと向かう。

「カエラさん────カエラさんにも祝福を授けてもいいですか?」

「私にも───ですか?」
「ええ。祝福があれば、きっとシェリアを護り抜くことができます。だから────授けさせてもらえませんか?」

 カエラさんは、シェリアの専属侍女であり───護衛だ。

 私は、もうシェリアを優先して護ることはできない。だけど────カエラさんに祝福を授けておけば、少しは安心できる。

 勿論、皇都を離れる前に、他にもシェリアの身を護る策を講じるつもりだ。

「…お願いします、リゼラ様。どうか────私にも祝福をお与えください」

 カエラさんは口元を引き締め、深々と頭を下げた。


◇◇◇


 予定より大分遅れて、“お城”へ跳ぶと────ノルンが、ヴァイスと共に待ち構えていた。

「遅いです、(マスター)リゼラ。色々あったのは知っていますけど────でも、待っていたんですよ」
「待たせてごめんね、ノルン、ヴァイス」

 ふくれっ面で言うノルンに苦笑しながら、私はノルンとヴァイス
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