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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十九章―誓いと祝福―#5
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んだよ?」

 シェリアは、このロウェルダ公爵家の公女だ。

 身分も容姿も問題ないのに、18歳という妙齢で未だ婚約者すらいないのは、皇妃一派のせいなのだ。

 シェリアは、その身分と年齢の近さから、レド様もしくはゼアルム皇子殿下の妃の筆頭候補だった。

 けれど───ジェスレム皇子に皇位を継がせたいベイラリオ侯爵家は、ロウェルダ公爵家を押さえたいがために、シェリアをジェスレム皇子の妃にしたいらしく、レド様たちとの縁談を邪魔したばかりか───再三断っているにも関わらず未だに諦めていないようで、徹底的にシェリアの縁談を潰しているのだ。

 ジェスレム皇子の妃にできないなら、他に嫁げないよう傷物にしてしまおうとも考えているようで────これまで企てられた誘拐のほとんどは、ベイラリオ公爵家が裏で手を引いているとのことだった。

 シェリアが、ここまで私に依存してしまっているのは───外出すらままならない、この異常な状況のせいだ。

 だけど───きっと、そう遠くないうちに、皇妃一派は一掃される。そうしたら、シェリアの状況だって、改善されるはずだ。

 それがいつになるかは判らないけれど、シェリアの身分と美貌なら、少しくらい年齢が過ぎてしまっても、縁談がないということはありえない。

 シェリアも、いずれ自分の家族を持つことになる。

 ラナ姉さんとは違って───シェリアは貴族なのだ。年を取らないことを不審に思われても、簡単に生活の場を変えることなどできない。

 もし、安易に不老長寿になってしまったら、後で後悔することになる。

「でも───でも、リゼに逢えなくなるなんて────」

 シェリアの夏の陽光のような金色の瞳が潤んで、滴となって零れ落ちた。

「大丈夫───こっそり逢いに来るよ。私には、古代魔術帝国の魔道具だって───魔術だってあるんだから、いつだって逢えるよ。私だって、シェリアに逢えなくなるなんて嫌だもの」

「本当に…?わたくしに────逢いに来てくれる…?」
「当たり前でしょ」

「わたくしが…、しわくちゃの老婆になっても───親友でいてくれる…?」
「シェリアこそ、私がいつまで経っても年を取らない───普通とは違う存在でも…、それでも親友でいてくれる?」

 私がそう言うと、シェリアは────濡れた眼のままで微笑んだ。

「それこそ、当たり前でしょう。リゼがリゼのままなら────いつだって、わたくしたちは親友だわ」

 シェリアの笑みが朗らかなものに変わって────私もようやく口元を緩め笑みを零す。

「ふふ、そうだね。シェリアがしわくちゃのお婆ちゃんになったって────シェリアがシェリアのままなら…、私たちは───いつまでも親友だよ」

「約束よ?」

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