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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十九章―誓いと祝福―#3
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「加護や祝福というのは、自分の意志では与えられないのですか?」
<いや。あの小童のときも、その小娘のときも、おそらく感情が昂って、無意識に授けてしまったのだろう。其方なら、意識して────自分の意志で授けることができるはずだ>
良かった────相手の意志を訊く前に、勝手に加護や祝福を与えてしまっては、困る。
「加護や祝福を授けると、魂魄の位階が必ず上がってしまうのですか?」
<それはない。そもそも、祝福を与えただけでは魂魄の位階は上がることはないし───加護も程度による>
「では、ラナ姉さんには強い加護を授けてしまったということですか?」
<そうだな。かなり強い───それも、瞬時に魂魄の位階が昇格してしまうような加護を授けたようだな。しかも、能力まで授けている。まさか、神ならぬ身で、能力を授けることができようとは────>
白炎様は、感心したような───呆れたような声音で続ける。
<我が神子よ────其方のその誰かを思いやれる心根は、とても美しいと我は思う。だが、むやみに加護を与えて───魂魄の位階を上げてしまうのは、すべきではない。それだけは心得ておいてくれ>
「はい、白炎様。肝に銘じます」
それは───白炎様の言う通りだと、私も思う。
「祝福を与えるのは、構いませんか?」
<ああ。祝福を与えるのは良いことだ。祝福は───魂魄を浄める行為でもあるからな>
「魂魄を浄める…」
<其方の祝福は、特にそうだ。我を救ってくれたときもそうだったが───それが其方の特性なのだろうな>
「あと、もう一つだけ確認させていただいてもよろしいですか?」
<ふむ、何だ?>
「たとえば、魂魄の位階が上がったラナ姉さんと【契約】を交わして、私とレド様の魔力で魔術を使い続けた場合、また魂魄の位階が上がってしまうのですか?」
<いや、もう上がることはないだろう。どの魂魄にも上限というものがある。其方やガルファルリエムの小僧のような───神に次ぐ位階まで昇り詰めることができる魂魄は稀だ>
「そうですか。では、ジグやレナスに私の加護を授けたとしても、もう位階が上がってしまうことはないのですね?」
<その心配はいらぬ>
そっか…。それなら、ジグとレナス、ラムルとカデアにも加護を授けた方がいいかもしれない。それに勿論───祝福も。
アーシャにも祝福だけなら、授けても大丈夫だろう。
「解りました、教えてくださってありがとうございます、白炎様」
<うむ。お安いご用だ。また、いつでも訊きに来るが良い>
肩に乗った白炎様が、いつものように頬に頭を擦りつけてきたので、身を委ねていると───不意に横から伸びた大きな手が、白炎様を掴んで持ち上げた。
誰の手かは──
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