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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十九章―誓いと祝福―#1
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れて───嬉しい気持ちで胸がいっぱいになって────私は、意識することなく、笑みを浮かべてそう言葉にしていた。

「良かった」

 ラナ姉さんも、綻ぶような笑みを返してくれた。



「リゼ?着替え終わったかしら?」

 ラナ姉さんと笑い合っていると、シェリアの声がして我に返る。いけない、シェリアたちを待たせているんだった。

「待って、今行く」

 私はシェリアに返事をすると、ファルリエムの模造章を取り寄せて、詰襟の合わせ目につけた。
 辞令式では、貴族章ではなく模造章の方をつけるのが習わしなのだそうだ。

 それから、【誓約の剣】を取り寄せて、腰に提げ、ラナ姉さんと二人、シェリアが待つフロアへと向かう。

「お待たせ」

 シェリア────と続けようとして、私は絶句してしまった。

 そこには────すでに着替えを済ませたレド様が佇んでいた。

 ジャケットの基本のデザインは、白地に銀糸のパイピングと刺繍が施され、前身頃を飾りボタンで留めるというのは、私のものと変わらないが、着丈は私のものよりも短めで、やはり白地に銀糸の刺繍があしらわれたショートマントを右肩にかけていた。

 マントは、私が創った───飾り紐を模したチェーンがついたレド様の個章を模った星銀(ステラ・シルバー)のブローチで留められている。チェーンは、左肩の肩章を留める飾りボタンに繋がれていた。

 ベルトと編み上げのブーツ、それにマントの裏地は魔玄製で───白と黒のコントラストが印象的だ。

 ベルトには、私が霊剣にしてしまった名工ベルクの片手剣を提げている。

 長身で姿勢の良いレド様は、その豪奢な純白の軍服を負けることなく着こなしていた。

 レド様は端正な顔立ちながら、後ろに流した短髪や左眼の黒い眼帯と刃傷が精悍な印象を醸しているので────軍服が似合い過ぎるほど似合っていて────私は眼が離せなかった。

「────カッコいい…」

 惚けていた私は、自分の口から言葉が零れ落ちたことに気づかなかった。

 レド様の右眼の目元が、赤く染まる。

「…リゼも、すごく────似合っている」

 レド様にそう言われて、またやらかしてしまったことを悟った私は、おそらく真っ赤になっているだろう顔を両手で覆った。

「……ありがとうございます…」

 うぅ…、シェリアの視線が痛い…。

 だって、しょうがないじゃない。レド様の軍服姿────本当に、格好良過ぎるんだもの…。


◇◇◇


「殿下、どこか気になるところや、変えて欲しいところはございませんか?」
「いや、大丈夫だ」

「リゼはどう?」
「私の方も大丈夫」

 レド様と私の答えを聴いて───ラナ姉さんは、安堵
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