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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十八章―惑いの森―#5
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くれてね」
しかも、ノルンってば、こっそり精霊樹の魔素を、調練場───もとい工房に適度に注ぎ入れてくれるらしい。助かるけど、いいのかな…。
「せっかくだから───皆にも一軒ずつ使ってもらうことにしたんだ。
もっと忙がしくなってしまう前に、一日だけ休暇を設けて、皆でゆっくり過ごす予定なの。ところどころにテラスもあるから、お茶とかしながら、のんびり景色も楽しめるし、森を散策することもできるし。
それでね────よかったら…、シェリアも遊びに来ない?」
「えっ…、わたくしも…?」
思ってもみない提案だったのか────驚いたらしく、シェリアが、カップを置くときに音を立てた。滅多にしない粗相だ。
「わたくしも、行ってもいいの…?」
「勿論。ちゃんと皆にも許可をもらっているから大丈夫。森全体に“結界”を張っているし、お城も拠点登録して、セキュリティーを施しているし、私もいるし、移動も魔術でするから心配はいらないよ。それに、行くなら、カエラさんも連れてくるでしょ?」
シェリアは、ロウェルダ公爵公女という立場と、その美貌から、出かける際はどうしても危険が伴う。
どうしても出かけなければならないときは、護衛をかなり厳重にして、情報を漏らさないようにしながら慎重に計画を立てなければならない。
だから────おいそれとは出かけられないのだ。
シェリア自身、何度も誘拐されたことがトラウマになってしまっているようで、欠席不可能な行事以外は出かけようとしない。
ただ、私が一緒だと安心して出かけられるらしく────時間がなくて本当に偶にだけれど、計画を立てて連れ出すようにしている。
「……わたくしのことなど、もう、どうでもよくなってしまったのかと思っていたわ」
シェリアは一瞬、泣き出しそうな表情を浮かべた後────口を尖らせて、言う。
「もしかして────シェリアってば、拗ねてたの?」
私はわざと、揶揄うように軽く返す。
「…だって、リゼったら、最近は殿下のことばかりで…。うちに寄っていってもくれないじゃないの」
「成人前は、冒険者の仕事が忙しくて、もっと寄れなかったと思うけど」
「そうだけど!でも、殿下の親衛騎士になってから、毎日のように来てくれていたから…」
「ふふ、シェリアは意外と寂しがりやだよね」
普段は公女然としたシェリアが───私の大事な親友が、幼い子供のように不貞腐れる様が可愛くて、私は笑みを零した。
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