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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十八章―惑いの森―#5
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に焼けて、色を沈ませていた。それを背に────湖の真ん中に、尖塔を擁する城がそそり立っていた。

 夕日に染まり、影だけがくっきり浮かび上がっている。

「あれが────原初エルフの遺跡…?」
「そうだ。あれは、“結界”を施した原初エルフの一部族が、この地に住んでいたときのものだ」

 私の呟きを拾って、ヴァイスが答える。

「でも…、勝手に利用してもいいの?」
「大事に使うなら、構わないのではないか。彼らはもうこの世に存在しない。この地を護ろうとしてくれる我が姫になら、許してくれるだろう」

 それなら────ヴァイスの言葉に甘えて、大事に使わせてもらうことにしよう。

 だけど、中を(あらた)めるのは、今度だ。そろそろ帰らないと、カデアに怒られてしまう。

 それでも、時を経てまた現れたその城から目を離せないでいると────レド様が私の腰を抱き寄せた。

「また明日にでも、城を探検しに来よう」
「ええ、そうですね。そうしましょう」

 夕焼けが黒味を帯びてきて────やがて宵闇に(うず)もれるまで、レド様と寄り添って、湖に佇む城を眺めていた─────


◇◇◇


「原初エルフの遺跡…」

 シェリアはそう呟いた後、絶句した。

 昨日は、お城の探検と整備に一日費やしてしまったので、二日経ってからの報告だ。勿論────シェリアに話すことは、許可をもらっている。

 今日は、レド様は昨日ロルスの授業を休んでしまった分、みっちり授業を受けることになっている。

 私は、シェリアに報告だけしたら、ジグとレナスを伴って“デファルの森”に討伐に行くつもりだ。

「それで───そのお城というのは、どうだったの?」

「それがね、湖岸から見たときは、大きなお城に見えたんだけど───中に入ってみたら、小さな町だったんだ。すべてが同じ白い石で建てられているから、一体化して見えてたみたい。
高台に小さな家が無造作に積み上げられていて、家々が細い通路と階段で繋がれていてね、階段の途中から見る湖が───階段を上がり降りする度に見入っちゃうくらい凄く綺麗なの。湖の色が───遺跡が現れる以前もアーシャの瞳みたいな色で綺麗だったのに───今はレド様の瞳みたいな淡い紫色になっていて…、凄く神秘的で綺麗なの」

「そう…」

「だけど、建物はちょっと寂しい感じがしたから、ところどころの花壇らしきスペースに、色とりどりの花を植えて、白い石壁には蔓草を這わせたら、蝶や鳥型の精霊獣が来てくれて───ふふ、庭園みたいになっちゃった」

「肝心の工房は整えられたの?」
「うん。一番大きな家を使わせてもらえることになったけど、それだけじゃ間に合わないから、そこにノルンが支援システムの調練場を繋げて
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