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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十八章―惑いの森―#3
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させたまま、【把握(グラスプ)】も発動させる。

「リゼ?何故、【把握(グラスプ)】を?」

 レド様が目敏く気づき、訊ねる。

「近い距離で戦うことになりますから、レド様の動きを把握しながらの方がいいかなと思いまして。それに、ジグとレナスも心配ですしね」

 他の魔獣が来ないとも限らない。
 ヴァイスは、かなりの力を持つ精霊獣なので、心配は不要だ。

「なるほどな。それなら、俺も発動させておくか」

 レド様は、今日は両手剣ではなく、大剣で戦うようだ。

「それでは────行くか」
「はい、レド様」

 まずは、2頭の魔獣を引き離すことからだ。
 魔獣は、どちらも私たちに気づいている様子はない。

 レド様と私は、同時に駆け出す。

 レド様が一つ目の魔獣に───私が蜘蛛擬きの魔獣に肉薄し、魔獣の一歩手前で、それぞれの剣を横凪ぎに振るう。

 案の定、魔獣たちは剣先を避けて、大きく後退した。どちらも大きさの割に素早い。とにかく、引き離すことは成功したようだ。

 私もレド様も、そのまま、それぞれの魔獣に追いすがる。

 蜘蛛擬きが、2本の前脚を振り上げた。私に向かって振り下ろすつもりだろう。私は振り上げられた前脚の下に走り込み、刀を振り抜きざま、まず左側の脚の関節に放つ。刃は、何の抵抗もなく、蜘蛛擬きの前脚を斬り抜いた。

 その勢いのまま───右側の関節も斬り抜く。蜘蛛擬きの両の前脚が宙に舞う。

 蜘蛛擬きは悲鳴のような声を上げながらも、尻尾の先を、まるでサソリのように、折り曲げてこちらへと向ける。咄嗟に私は後ずさった。

 蜘蛛擬きの尻尾は、サソリとは違い、刺すものではないようで───その先端から、私の頭くらいの大きさの白い球体が、3発続けて飛び出て来た。

 それは、凄い勢いで私へと飛んでくる。【心眼(インサイト・アイズ)】によれば、球のように巻き付けた糸らしい。粘着質なため、斬らない方がいいみたいだ。避けて、地面に転がるのも邪魔だ。

 それなら────

 私は、自分の胸の前に【転移(テレポーテーション)】を発動させて、飛んできたその白い球体すべて、蜘蛛擬きの後方へ転移させる。

 そして、すかさず蜘蛛擬きの胴体に飛び乗り、次の射出が来るまでに尻尾を斬るべく、刀を振るった。

 尻尾を斬り上げた矢先、背後に気配を感じ、私は刀を鞘に納め、反転して蜘蛛擬きの胴体を奔る。蜘蛛擬きの顔を蹴って、宙に跳び上がった。

 跳び上がった先にいるのは────レド様に両腕を斬り落とされた一つ目の魔獣。

 鞘を握り込んだ左手の親指で鍔を弾きつつ、刀を走らせて振り抜き、魔獣の首へと食い込ませた。

 肉体が魔素でかなり強化されているようで、思ったよりも硬い
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