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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第十八章―惑いの森―#2
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 それは手で掴めるような細いものもあれば、オークよりも太いものまである。これは木の枝などではなく、おそらく────精霊樹の根だ。

 まるで柱のように───空間を区切っていた。

「こちらだ」

 ヴァイスは、精霊樹の中心と思われる方へと向かう。

 しばらく進むと、足元に水路が現れた。水路は縦横無尽に走っており、ヴァイスは湖を横切ったときのように、水路でも構わず渡ってしまうので、私は水路に固定魔法で橋を渡しながら進んだ。

 進むにつれ、水路が前方に向かって集約しているのが見て取れた。

 集約している先は泉となっており、その中心に───精霊樹の根が絡まり合って、小さな邸ほどもある太い柱のように、そそり立っている。

 目を凝らすと、網の目のようになっている根の隙間から、眩い光が漏れているのが見えた。近づくと、それは巨大な石だった。明らかに魔素を大量に含んでいる。

 この輝きには────見覚えがあった。

「まさか────聖結晶(アダマンタイト)…?」

 間違いない、これは────巨大な聖結晶(アダマンタイト)だ。

 木の根から魔素を取り込み、光り輝いている。地下空間を照らしているのは、これだと気づく。

 あのとき───魔獣化の危機にあったアルデルファルムから、魔素を吸収していたのはこれだったんだ。

 聖結晶(アダマンタイト)から泉に魔素が溶け出し、泉の水は濃厚な魔素を含み、水路へと流れ出ている。

 先程から、水路の水の魔素がやけに濃いとは思っていたのだ。

 辺りを見回すと、水路は四方八方へと広がり────かなり先まで続いているようだ。

「もしかして────この地下水路を張り巡らせることによって、“結界”を施しているの…?」

「さすが、我が姫だ。その通りだ。我も詳しくは解らないが、これが術の根源となっていることは間違いない」

 詳細を知りたくて、私はいつものように【心眼(インサイト・アイズ)】を発動させる。


原初(オリジン)エルフの結界】
 原初(オリジン)エルフの魔法は解明されていないため、解析は不可能。エルフの【失われた魔法】が使われていると思われるが、詳細は不明。


 原初エルフの魔法は、古代魔術帝国でも解明されていなかったんだ…。

 それじゃ────修復は難しいかな。

 だけど、見た限り、この聖結晶(アダマンタイト)は機能しているように見える。不具合が起きているとしたら、水路の方だろうか。

 【地図製作(マッピング)】をしようとして────思い立つ。
 レド様と私の“眼”を使えば、一気に【立体図(ステレオグラム)】を作れるんじゃない?

「レド様、【千里眼】を発動してくれませんか?」

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