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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#7
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いた。

 でも、刻印に浸食されたアルデルファルムの魂魄と肉体の損傷が酷い。

「【起死回生】…」

 神聖術を発動させて、アルデルファルムの治癒を試みる。

 これは────持っていかれる魔力量が半端ない。瀕死の状態でも回復させることができるという術だ────当たり前かもしれない。

 駄目だ───これは、魔力が足りなくなる。

 固有魔力量が底をつきそうなのが、自分でも判った。身体が今にも崩れ落ちそうだったが───共有魔力に切り替わるまでの辛抱だと、足になけなしの力を入れる。

 それでも、よろめいたそのとき────後ろから抱き留められた。

「レド様…」

 振り返らなくても、それが────その温もりが誰のものなのか判る。

「この損傷を治せばいいんだな?」

 私の肩を抱くレド様の左手に嵌められた───私が差し上げた指環が、光を放つ。

 そうか────レド様も指環の効力で、神聖術を使えるようになったんだっけ…。

 アルデルファルムも、レド様に治してもらった方が嬉しいかもしれない。

「お願いします…、レド様…」

 私が気を失えば、【立体図(ステレオグラム)】が消えてしまう。そう思って、意識を保とうとしたけれど、抜けていく力に抗えず────私の意識は呑まれるようにして、途切れた。


◇◇◇


 瞼を開けて、一番初めに目に入った光景は────佇むレド様に、純白のドラゴンが(こうべ)を垂れているところだった。

 ああ───良かった…。
 アルデルファルムの治癒は上手くいったんだ。

 レド様が微笑んでいるのが見え────私も嬉しくなる。

「リゼ姉さん…!よかった、目が覚めたんだね…!」

 泣きそうな表情のアーシャが、私を覗き込む。

 アーシャの向こうに精霊樹の幹が見える。私は───精霊樹の傍に寝かされていたみたいだ。

 安堵するカデアとラムルの顔も見えた。

 また────皆に心配をかけてしまったらしい。

「リゼ…!」

 すぐにレド様にも覗き込まれる。

 心配させてしまっただけでなく───アルデルファルムとの話を中断させてしまったようで、申し訳なさでいっぱいになった。

 私が上半身を起こすと、レド様が支えるように────私の肩を抱く。

「申し訳ありません…、レド様」
「何を謝ることがあるんだ。こちらがお礼を言うことはあっても、リゼが謝ることなどないだろう」

 レド様の後ろに、ジグとレナスが立ってこちらを見ていた。どちらも、レド様と同じように、心配そうな表情だ。

<<<無事、回復されたようですね────神子>>>

 アルデルファルムが、少しだけこちらに近づき、首だけを伸ばした。


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