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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#6
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していることに気が付いた。

 根から魔素を吸い上げて、幹から放出しているの?────少し疑問に思ったけど、検証は後回しだ。

 アルデルファルムはこちらを見ていたが───その視線は一点に注がれていた。白狼でも私でも、後ろに控えるジグたちでもない。

 その視線の先は────

<<<まさか────ガンドニエルム…、貴方なのですか…?>>>

 アルデルファルムが、レド様を真っ直ぐに見つめて────感極まったように呟く。

 ガンドニエルム────それは、神代に神々が築いたという“楽園”の名だったはずだ。

 このドラゴンは───どうして、レド様をそう呼ぶのだろう。
 レド様も、困惑したような表情を浮かべている。

「俺は────ルガレドだ」

<<<そうか…、転生なさったのですね>>>

 レド様の魂魄の根源である、ガルファルリエムと神子の間に生まれた子供は───ガンドニエルムという名だった、ということ?

 だけど────何故、それが楽園の名に…?

<<<ああ───最期に…、こうしてまた貴方に逢えようとは────>>>

 最期────その言葉に、衝撃を受けたように、レド様は眼を見開いた。

 確かに、アルデルファルムは魔素を何とか押し(とど)めているようだが───それも、時間の問題だ。

<<<ガンドニエルム───いえ、ルガレド、お願いです。魔獣化して、この精霊の棲まう最後の森を───私の可愛い子供たちを襲い、食い潰してしまう前に…、どうか───私を貴方のその手で屠ってください>>>

<<<そんな────長…!>>>

 白狼が、叫ぶ。

「俺が────この手で…?」

 レド様も動揺を隠せない。
 レド様の声も手も───心なしか…、震えている。

 ああ…、記憶はなくとも────このドラゴンは、レド様にとって、きっと大事な存在なんだ。

 それならば────私のやるべきことは一つだ。

「レド様、大丈夫です。私に───私に任せてください」
「リゼ?」
「ここで見ていてください、レド様」

 レド様の眼を見て告げると、レド様は一瞬眼を見張った後、息を吐いて動揺を治め────口を開いた。

「…解った。リゼに任せる。どうか───無茶だけはしないでくれ」

 私はレド様に頷くと、アルデルファルムの方へ向かって歩き出す。そして、白狼に擦れ違いざま、笑いかけた。

「大丈夫。あなた方の長を────きっと助けてみせますから」

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