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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#6
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、かなり驚いているようだ。
「ふふ。行きましょう、レド様」
興味深げに辺りを見回すレド様の手を引いて、再び歩き出した白狼の後を追う。レド様は、私の手を握り返して歩き出しながらも、周囲を見回すのを止めない。
そんなレド様が可愛くて────余計に笑みが零れた。
白狼は、精霊樹の許へ向かい、幹に沿って精霊樹の裏側へと向かう。白狼を追いかけて精霊樹に近寄ると、改めてその巨大さを思い知った。
それにしても、精霊樹から放出される魔素が濃い。あまりにも充満していて───少し息苦しく感じた。
白狼が立ち止まったので、私たちも足を止める。
白狼の顔を向けている方へ視線を遣ると───精霊樹の土へと潜る太い根元の合間に嵌るようにして
蹲
(
うずくま
)
る、レド様のお邸ほどもある純白の塊が目に入った。
最初は────それが何か判らなかった。
それは、私たちの存在に気づき───その身を起こした。長い首を擡げて、こちらを向く。
「まさか────ドラゴン…?」
誰が呟いたのか、その存在に圧倒されていた私は、認識できなかった。
そう、それは────古より、数多いる生物に君臨するという───滑らかな純白の鱗と、あの湖に降り注いでいた陽光のような金色の瞳を持つ、巨大なドラゴンだった────
私たちは、ただ言葉を失って────立ち尽くす。
ざわ、と
項
(
うなじ
)
の下に鳥肌が立った。白狼が、私たちに姿を現してまで、懇願した訳が理解できる。
見た目からは判らないが、ドラゴンは確かに魔素に蝕まれている───そう、“禍”に蝕まれていた白炎様のように。
私は、無意識に【
心眼
(
インサイト・アイズ
)
】を発動させて、
彼
(
か
)
の竜を視る。
【
聖竜
(
セイント・ドラゴン
)
アルデルファルム】
すべての精霊・精霊獣を統べ、「精霊王」と称される古より存在する竜。海より出でて、
神竜
(
エル・ドラゴン
)
ガルファルリエムに仕えていたという
聖竜
(
セイント・ドラゴン
)
。その身の9割がたを、魔素に呑まれており、魔獣化しつつある。
「“聖竜”…?」
“聖竜”という名称は聞いたことがないが───“精霊王”の方は聞いたことがある。まさか、ドラゴンだったなんて─────
このドラゴンが────魔獣化…?
考えるだけで、血の気が引いた。魔獣化されてしまったら、おそらく被害はこの森だけでは済まない。
“
聖騎士
(
グローリアス・ナイト
)
の正装”を纏って討伐することはできたとしても────被害は相当なものになるはずだ。
でも、このドラゴン───アルデルファルムは、魔獣化の危機にあって、何故こんな魔素の濃い場所にいるのだろうと思ったが────精霊樹の根が魔素を吸収
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