暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#6
[1/4]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
白狼が、こちらへ来たときと同様、湖の水面に下り立った。
白狼の足元に魔力が集まっているのを感じ、【
心眼
(
インサイト・アイズ
)
】で見てみると、足元に魔力を集めて固め、宙に浮いているようだ。
これは────固定魔法?
私は、白狼の真似をして────皆が歩けるように、水面に【結界】を応用した、魔素の道を創り出す。
湖の水面に下りると、湖岸に立つ皆の方へ振り向いた。
「道を創りましたから、私の傍に下りてみてください」
真っ先に下りたのはレド様だ。ジグとレナスが続いて下りると───アーシャが元気よく飛び下り、ラムル、カデアが恐る恐る下り立った。
「不思議な感覚だな」
「ふふ、そうですね。────さて、後を追いましょうか。皆、私の傍から離れないでくださいね」
ジグとレナスは、ますます忍者みたいだな────なんて思いつつ、水面に魔素の道を敷きながら、先を歩く白狼の後を追う。
湖の上を渡る風が意外と強く、遮蔽物がないので、髪や装備が翻弄される。それに気づいたレド様が、私に当たる風を遮るように、さりげなく立ち位置を変えてくれた。
「ありがとうございます、レド様」
「気にするな」
お礼を言うと、そう応えてくれたレド様に────私は何となく手を繋ぎたくなって、レド様の手を握る。
レド様は────いつものように、すぐに握り返してくれた。
私は、ふと一番小さくて軽いアーシャが心配になって、後ろを振り返った。
カデアが、アーシャを風から庇うように並んでくれている。
カデアはアーシャのことを何かと気にかけ────可愛がってくれているようで、アーシャもカデアに懐いているみたいだ。
アーシャに良くしてくれるカデアに、後で何かお礼をしたいな。
湖の真ん中まで来ると、声を上げたくなった。
陽光に煌く水面は光の平原のようで、いつまでも歩いていたいような美しさがあった。
そんな私に気づいたレド様が────優しい声音で囁いた。
「また時間を見つけて、一緒に来て───ゆっくり散歩しよう」
初めてサンルームを案内してくれたあのときのような────レド様の言葉に、嬉しさに胸が熱くなるのを感じながら、私は頷いた。
白狼は、湖を渡り終えると、森の中へと入っていった。
後を追って森に踏み入ると、すぐに鬱蒼とした木々に覆われた。木々が作り出す闇を、木漏れ日が柔らかくしている。
歩いていると、不意に蛍のような小さな光の塊が、ふわりと横切った。
見回すと、幾つもの光球がふわふわと漂い───木漏れ日と共に闇を和らげている。
その光景に見入っていると、草木の合間に小さな動物が見え隠れしていることに気づい
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ