暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#5
[4/5]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
、どうした?」
レド様に声を掛けられたが────私は白狼から目を離せなかった。
私の視線を追って、レド様も白狼に気づいたようだった。
「あれは…?ただの獣ではないようだが───魔物ではないよな?」
「ええ。おそらく、精霊獣ではないかと」
対岸までかなりの距離があったが、それでも、白狼が、レド様と私をじっと見ているのが判った。
不意に───白狼が動いた。
湖に前足を踏み出す。しかし、前足は沈むことなく水面に乗り上げた。
四肢全部乗り上げると、白狼は、前方に───こちらに向かって、歩み始める。
「こちらに────来るつもりか?」
「…そのようです」
レド様も私も、腰を浮かせた。
他の皆も事態に気づいたようで、緊張が
漲
(
みなぎ
)
るのを肌で感じた。
「ガゼボを収納します。皆、外に出てください」
相手は魔物ではなく、精霊獣だ。戦闘になるとは思えないが、万が一ということもある。
私は、全員がガゼボから出たことを確認すると、ガゼボを拠点専用スペースへと移動させた。
「アーシャ、念のため、装備を替えて」
「うん!」
アーシャは腕時計を使って、侍女服から冒険者の装備へと替える。
私たちが注視する中、湖を横切ってこちらに辿り着いた白狼は、岸辺へと上がってきた。
皆が警戒して、並び立つレド様と私の前に出ようとしたが───レド様が押し止める。
「いい。───大丈夫だ」
【
心眼
(
インサイト・アイズ
)
】で見る限り、やはりこの白狼は精霊獣で────その魂魄はこの湖の水面のような輝きを纏っていて、敵意も見当たらない。きっと───レド様も神眼でそれを確かめたのだろう。
白狼は、レド様と私の前まで歩み寄ると────その
首
(
こうべ
)
を垂れた。
<<<神竜の御子と神子姫とお見受けする>>>
直後、【
案内
(
ガイダンス
)
】とも白炎様とも違う、深く脳に染み渡るような───不可思議な声が響く。
ネロは普通にしゃべるので、少し驚いてしまった。そういえば───ネロは私の魔力をあげるまで、話せなかったと思い出す。
「何故、俺たちの前に現れた?」
<<<神竜の御子と神子姫。どうか…、我らを助けていただきたい>>>
「助ける?───どういうことだ?」
レド様が、訝し気に返す。白狼は下げていた頭を上げ、レド様と私を───ネロとそっくりなその琥珀色の眼で見る。
<<<我らが長と、契約を交わしていただきたい>>>
「…お前たちの長と?」
精霊獣の長────以前、ネロに聞いたことがある。
精霊獣は色々な種類がいて、森の中で共生しているけれど、その数多いる精霊獣を統べる存在がいるのだ───
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ