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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#5
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を使って言っているわけではなさそうだったので、安堵した。

「さあ、あの三人は放っておいて、リゼラ様が創ってくださったガゼボで寛ぎましょう」

 いいのかな、と思いつつ────カデアに促され、ガゼボの階段に足をかけた。



 じゃれ合いを止め、慌ててガゼボに駆け上がってきたレド様たちを交えて、皆でガゼボのベンチに座る。

 座る位置でまた一悶着あったけど、結局、ガゼボの背面───湖側のベンチにレド様と私が並んで座り、レド様とは反対隣にアーシャが座って───ジグとレナス、ラムルとカデアで、それぞれ二人ずつ両脇のベンチに座ることになった。

「昼食には、まだ早いですね。お茶でも飲みましょうか」

 私が提案すると、レド様を始めとした皆が───また、あの奇妙な表情になった。

「まさか…、リゼ────お茶の用意もしてきてくれたのか…?」
「え?あ、はい。昼食はカデアが用意してくれるとのことでしたから、それならお菓子でも、と思って」
「それは───いつ作ったんだ?」
「朝食やお弁当を作るときに、少しずつ作り置きしていたんです」
「そんなの作っていたか…?」
「ええと、レド様が来られる前に、仕込みと焼くのと工程を分けて、少しずつ作っていたんです」

 晴れて厨房入りをカデアに許されたレド様は、私が朝食を作る日は、また手伝ってくださるようになった。

 だけど、レド様はどうも低血圧らしく、あのベッドを以てしても寝起きはすぐに動けないようで、厨房に来るのは私より遅れがちなのだ。

「いけなかったですか…?」
「…いや────ただ、俺も一緒に作りたかったと思っただけだ。用意してくれてありがとう、リゼ」

 レド様はそう言って────にっこり笑う。他の皆もにっこり笑う。

 何だか妙な雰囲気に首を傾げつつ、私はアイテムボックスから、淹れたての紅茶が入ったポットと人数分のマグカップ、それに作り置きしておいたお菓子を取り寄せた。


◇◇◇


 アイスボックスクッキーや貝型のマドレーヌを摘まみつつ、その美しい景色を堪能する。

 どこからか風が吹き込んでいるらしく、湖には波が立ち、陽光を映す水面が一層煌めいて本当に綺麗だ。

 湖から立ち上る冷気が風に載って、ひんやりと頬を撫でていくのも気持ちがいい。

 眼を細めて湖を眺めていると、ふと対岸に───森の木立を背にして佇んでいる狼が目に入った。

 白炎様のような、光を撥ね返す純白の長毛を靡かせ、雄々しく佇むその姿はただの獣には見えなかった。

 おそらく、あれは────精霊獣だ。

 だけど、何故あんなところにいるのだろう。精霊獣は森の奥深くに隠れ棲み、人前には決して姿を見せることはないと、ネロは言っていたのに。

「リゼ
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