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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#4
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い出しておいて────大切な女性に心配をかけるなど、まったく坊ちゃまは情けない────と、ルガレドに対して理不尽な義憤を覚える。
「旦那様に休息をとっていただくよう進言したのですが、聞き入れてくださらないのです。ですから、リゼラ様───旦那様をどこか静かな場所にでも連れ出してくださいませんか?」
「静かな場所───ですか?」
「ええ。心洗われるような───自然豊かで…、静かな場所で過ごせば、心も休まると思うのです」
「それは…、とてもいいと思います。言われてみれば、レド様は最近休息をとっておりませんし、これから忙しくなることを考えると────休めるうちに休んでいただいた方がいいですよね…」
リゼラは少し考え込んだ後、ラムルにその澄んだ蒼い双眸を向けた。
「解りました。行く当てや、詳細などは決めてあるのですか?」
「そうですね…、護衛やお世話などを踏まえると────総出で行けたらと思っております」
「皆で────いいですね。きっと、レド様も喜びます」
ラムルの言葉を聴いて、リゼラの顔が綻んだ。
ルガレドは皆で行くよりもリゼラと二人だけで過ごす方が喜ぶだろう、とラムルは思ったが────言わずに、ただ笑みを返す。
「それで、行く場所なのですが───リゼラ様、どこか良い場所を知りませんか?」
「それなら、心当たりがあります。深い森なのですが…、奥に綺麗な湖があって────皆にも気に入ってもらえるのではないかと思います」
聴いているこちらも楽しくなるような────弾んだ声音で、リゼラは答えた。
ジグが話していた────リゼラの“お気に入りの森”に違いない。
「全員の日程を合わせなければいけませんね。ロウェルダ公爵邸に寄ったら、ロルスとマイラさんに、レド様とアーシャの都合を伺ってみます」
「いえ────調整など、細かな手配は私が致します。リゼラ様は、旦那様に共に出かけることをお願いしていただくだけで良いのです」
「そうですか。それでは、調整と手配の方はラムルに任せます」
リゼラは軽く首を傾げてそう言って────よほど楽しみなのか、嬉しそうな笑みを零す。
ラムルは、いつもの凛としたリゼラからは考えられない────年相応のその笑みに、微笑ましくなりながら頷いた。
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