暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#4
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
で浮かれておる。さっさとしないと、我が神子が戻ってくるぞ>

 白炎に頭を羽根で(はた)かれ────ルガレドは我に返った。

「ああ、そうだった。────すまない、皆に相談に乗って欲しいことがあるんだ」

 ルガレドは、いつの間にか目の前に集まっていた───ジグ、ラムル、カデア、アーシャに向かって口を開いた。

「俺は───リゼの献身に対して、何かお礼をしたいと思っている。だが…、何がいいか判らなくてな」
「リゼラ様にお礼ですか…。確かに────お礼したいですね。この時計をいただいたとき、年甲斐もなくはしゃいでしまって、ろくにお礼を言うこともできませんでしたから」
「そういえば…、ラムルもカデアも珍しくはしゃいでいたな」
「旦那様…、魔道具は男のロマンですよ。はしゃいでしまうのは当然なのです」

 ラムルが至極───真面目な表情で言う。
 カデアも、負けじと言い募る。

「だって、嬉しいではないですか。以前から、時計が欲しいと思っていたんですよ。それが───こんな、綺麗で…、すごいものを創ってくださって───しかも、これは、リゼラ様が私のために創ってくださったんですから」
「そうだな…。俺も────リゼが自分のために創ってくれたということが嬉しい」

 カデアがリゼラの意を汲んで喜んでいることが嬉しくて────ルガレドは笑みを浮かべた。

「それで────お礼は何がいいと思う?」
「…難しいですね。今のリゼラ様は、ご自分で何でも創れますし───物欲もなさそうですよね」

 ジグは真剣に考えているらしく、口元に手を遣り、眉を寄せた。

「そうなんだよな…。ドレスも装身具も、母上のものだけで十分だと言われてしまったし────他に思いつかないんだ」

「アーシャ、リゼラ様が喜ぶもの────あなたは何か思いつかない?」

 カデアが、リゼラと近しい存在のアーシャに話を振るが、アーシャは首を横に振る。

「わたしたちも、前にリゼ姉さんに何かお礼をしようとしたんですけど、やっぱり思いつかなくて…」

 ジグが、何かを思いついたらしく────顔を上げた。

「そうだ────皆で出かけるというのは?」

 ジグに、皆の視線が集まる。

「ほら…、初めて邸を案内したとき、リゼラ様が仰っていたではないですか。“お気に入りの森”があると────ルガレド様に『いつか一緒に行こう』と」

 邸の───森の小道を模した廊下を歩いていたとき、森の中には行ったことがないと言ったルガレドに、リゼラは確かにそう言ってくれた。

 その森の奥に水底まで見えるような澄んだ湖があるのだと────そう話してくれた。

「総出でこの孤児院に赴いたとき、リゼラ様はとても楽しそうでした。皆でお気に入りの場所に出か
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ